
騒動を機に学歴に関するさまざまな感想がSNS上にアップされましたが、そのなかに学歴は就活で重視されるから重要なんだ、という投稿が複数ありました。実際、このユーチューバーも著書で「就職には『学歴フィルター』というものが多少なりとも存在します」と記し、学歴は武器になると強調しています。就活に挑む際に、学歴についてどう考えるべきなのでしょうか。(編集部・福井洋平)
(写真はiStock)


福島大の佐野孝治学長は朝日新聞の取材に「この間、皆さんと作り上げてきた復興知を馬鹿にされたり、汚されたりしたという思いがあり、声明を出した」と語っています。そもそも福島大学がとりわけ原子力災害や環境放射能などの研究を積み重ねてきたことは、2011年の事故を踏まえてきわめて重要な意味をもっており、「触らせたくない」という発言はどういう意図であったとしても不当でしょう。動画の削除、謝罪は当然と考えます。
あわせて佐野学長は偏差値をネタにした同チャンネルの表現について、「大学に入った後も学力はどんどん伸びるので、偏差値で学力や人間性まで測る考え方は教育者としては全く同意できない」と指摘しています。これも言うまでもないことで、大学はそれぞれに特色をもち、多様な研究テーマをかかえています。4年間で何を学び、どう過ごすかによって、その人の能力や人間性は大きく変わります。入学時の学力だけを万能の尺度のように振りかざす姿勢はこれも全く不当としか言いようがありません。
このチャンネルでは以前から大学を「Fラン」(Fランク、入学がきわめて容易な大学を指すスラング)と揶揄したり、ある大学に対して「第一志望0人説」という企画で撮影したりと失礼な表現が多く、たびたび「炎上」しています。出演者の2人がかけあい、失礼な発言に対して「ヤメロオマエ」といさめる発言を挟むなどして「エンタメ」であるという体裁をとっているようですが、今回の騒動を見ても、エンタメとして受け取れる限度を超えていると感じる人は多いのではないかと思います。

そして、学歴だけで就職活動の成否が決まるというのも、現実的な分析ではありません。冒頭に書いたように、学歴はあくまでその人の一側面しか表してくれません。2006年に経済産業省が提唱した「社会人基礎力」は「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の3つの能力で構成されています。大学入試の結果だけだと、この3つの能力の一部分しか類推できないことがわかるでしょう。さらに大学4年間での成長ぶりは、大学入試の結果だけでは判断がつきません。だからこそ、企業はペーパーテストだけではなく、インターンシップや面接を複数回重ねて選考をしているのです。
人手不足が深刻化しているなか、生き残りをかけて優秀かつ自社にマッチする人材を必死で探している企業にとって、大学名は選考の要素になり得ても決定項にはなり得ないと考えるのが自然です。「学歴フィルター」を過大視せず、就活に関する情報を積極的に集めて動くことで、必ず納得のいく就職活動につなげることができると私は考えます。就活について悩んだときは、ぜひ大学のキャリアセンターなどに相談して、やるべきことをしっかり見据えて行動してほしいと思います。
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