2026年06月24日

新入社員7割「現在の会社で働き続けたい」一体なぜ? 会社選びの参考にしよう【就活イチ押しニュース】

テーマ:就活

 転職が一般的になったと言われていますが、一方で新入社員の「就社志向(現在の会社でずっと働きたい意向)」は年々高まっているというデータがあります。2025年の調査では、実に7割の新入社員が「現在の会社でずっと働きたい」と回答したそうです。なぜ、「就社志向」が高まっているのでしょうか。企業研究、進路選択をする際に必ず考えるテーマだと思いますので、世の中のトレンドもぜひ理解して、参考にしてください。(編集部・福井洋平)
(写真、イラストはすべてiStock)

2020年調査からプラス21ポイント

 この調査を行ったのは日本能率協会マネジメントセンターで、2016年に始まり今回で10回目を迎えました。2024年から2025年に入社した新入社員約1000人を対象にしたアンケートでは、「現在の会社でずっと働きたい」という回答が全体の70.9%に達し、2020年調査比でプラス21ポイント、調査開始以来もっとも高くなりました。この数字を裏付けるかのように、今後の働き方に関しては「今の会社の事業の中で成長したい」(73.8%)が上昇、仕事の評価については「何時間働いたか・何年勤続したかを考慮して評価されること」を望む人(49.1%)が年々増加しています。

 なぜ、このような傾向が出ているのでしょうか。朝日新聞デジタル版のインタビューで、調査を担当した同センターの斎木輝之さんは、かならずしもこれは新入社員が終身雇用に回帰しようとしているというわけではないと語っています。

3人に1人の就活生がワーク・ライフ・バランス重視

 では、この変化は何が原因でしょうか。斎木さんは、新入社員は人間関係やワーク・ライフ・バランスといった働きやすさを重視しており、インターンシップなどを通じて職場の雰囲気や働きやすさなどを見極めて入社している、とみています。

 学情が2025年11月に2027年卒学生を対象に行ったアンケート調査では、就活の軸に近いものはどれかという質問に3人に1人が「ワーク・ライフ・バランスを重視」と回答(32.2%)。就活の軸を実現するために企業選びで重視すること(複数回答可)という質問でトップとなったのは「勤務時間や休日など働きやすさ」(55.0%)でした。好景気を実感しづらい世の中で、どちらかといえば仕事に働きやすさを求める就活生が多い、ということがわかります。

 また、ここ数年でインターンシップ(オープン・カンパニー含む)が一般化し、就職先を選ぶ際にインターンシップなどを通じて会社のリアルな雰囲気をつかんでおくことができるようになってきました。企業側も就活生とのマッチングを重視し、社員座談会などの機会を重ねて就活生になるべく職場の実態を伝えるよう努力しています。社風などをよく理解したうえで入った会社であれば、ずっと働き続けたいと考える新入社員が多くなるのも当然だろうと考えられます。

 一方で、転職市場も変わらず活発です。斎木さんはインタビューで「(入社した会社に対し)無条件の忠誠心ではなく、この会社で成長できるなら続けたいという条件付きの定着意欲としてとらえるのが実態に近い」とも指摘しています。

指導側は「育成疲労」広がっている

 この調査では、新入社員の育成に関わる上司・先輩社員約1600人にもアンケートをとっています。「新入社員の指導・育成を行っていることで自分自身が成長したという実感があるか」という質問について、「実感がある」と回答したのは59.7%。前回からは微増しているものの、2018年の67.2%をピークに下降傾向が続いています。また、配属された新入社員に当たり外れがある、いわゆる「新人ガチャ」を感じた上司・先輩社員は、67.3%にのぼっています。

 斎木さんは、これは新入社員が問題なのではなく、「現場の育成環境の変化」という見方を示しています。売り手市場が続き、会社側はせっかく採用した社員を辞めさせたくないという気持ちが強まっています。育成する側はそのプレッシャーや、ハラスメントへの配慮、残業時間削減などさまざまな負担がのしかかり、いわば「育成疲労」が広がりつつあるのではないか、とこの調査ではまとめています。

「自らキャリア切りひらく」割合年々低下

 このアンケートでは、新入社員に「キャリアは、自ら切りひらく必要があると認識している」かどうかも質問しています。今回対象の2025年入社のうち「そう思う」と答えたのは65.3%で前回から約3ポイント減少、2022年入社(89.2%)と比較すると25ポイント近く減少しています。売り手市場が続くなか、自分でキャリアを開いていこうという意識は年々下がってきているとも考えられます。

 たとえ同じ会社で勤め続けていくことをめざすとしても、キャリアを自分で切りひらいていく意識をもつことは大切です。AIの進化や国際情勢の激変など、社会をとりまく環境の変化は年々激しくなっており、会社のあり方やビジネスモデルもそれに応じて変化を重ねていくことが予想されます。そんな時に求められる力は、会社のなかであっても自律的にキャリアを考え、切りひらく意識を持った社員です。全体的にキャリアを切りひらく意識が下がっているとすれば、逆にこういった意識を強く持てば、社内で一歩抜きんでることができるかもしれません。これから就活を進めるにあたって自分は何を重視するのかを改めて考えつつ、今後のキャリアをどうしていきたいかも折に触れて考えるようにしてほしいと思います。

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