2026年05月13日

AI進化で大企業の6割「配転」「人員抑制」の可能性 生き残るために何を考えるべきか【就活イチ押しニュース】

テーマ:就活

 久しく学生優位の「売り手市場」と言われてきた就職活動市場に変化が出てきています。学情の調べでは、2027年卒生の今年4月末現在の内々定率は72.7%で2カ月連続前年を下回りました。それでも十分高い数字ではありますが、売り手市場がピークを過ぎつつあるように思われます。

 要因はさまざま考えられますが、大きな要因としてあげられるのはAIの進化です。AIを活用することによりオフィスワークがAIでできるようになり、人減らしにつながるのでは――とみられているのです。すでに、AIの導入で採用を減らすと明言している企業も出てきています。今後どのような流れになるのか、朝日新聞の記事をもとにチェックしてみましょう。(編集部・福井洋平)
(写真はiStock)

「採用減を絶対命令」

「(AI活用により)今度の採用から大幅に減らすことを絶対命令とする」

 今年3月、SBIホールディングス(HD)の北尾吉孝会長兼社長はAI活用を進めることで、採用を大幅に抑制する方針を打ち出しました。AIをグループの意思決定や業務プロセスの中心にし、採用については「よっぽど優秀な人材でないと採用するなと言っている」と表明したのです。

 ここまではっきりと採用抑制を打ち出した企業は日本ではまだ少ないですが、AIを活用することで業務量を大幅に減らす、と表明する会社は次々と現れています。たとえばみずほフィナンシャルグループ(FG)はAIにより業務の効率化を進め、今後10年間で最大5千人分の事務職の業務を削減する方針です。これは、全国に約1万5千人いる事務職の3分の1にあたります。みずほFG傘下のみずほ銀行などの店舗では現在、口座開設の際の書類確認やデータ入力を事務職が担っていますが、これらの業務をAIに任せることを想定しています。業務量を減らして余った人材は、ほかの業務に配置転換するといいます。
(写真・講演するSBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長=2026年3月3日/朝日新聞社)

高度な業務や新規事業に配置転換も

 朝日新聞デジタル版の記事「進むか「AI配転」 事務仕事減らし、営業強化へ」では、このほかにもAIを活用した業務スリム化の動きを取り上げています。たとえば、

西日本シティ銀行(福岡市)……2018年4月から業務改革に取り組み、今年3月までに「1500人分の業務量削減」を達成。現在は6割強の行員が日常業務でAIを活用し、今後3年間で年20万時間の業務効率化ができると試算。余った人員は営業力強化に振り向けて、収益力を上げることを目指している。

RIZAP(ライザップ)グループ(東京)は建設業界への本格参入を目指し、AI活用でグループの事務系ホワイトカラーの業務削減に着手。2027年3月までに従業員約500人を人手不足の建設業へ配置転換する予定。

アフラック生命保険(東京)は2025年8月、オペレーターのアバター(分身)が顧客に音声で応対するシステムを導入した。今後、約1600人いるコールセンターの担当者を5年間で半減させる計画。

 特にいまの日本では、金融業界を中心にAIによる業務効率化の動きが目立っています。ホワイトカラー職が多く人件費の比率が比較的高い業界のため、業務効率化の影響が大きいと考えられます。

ホワイトカラーの仕事失われる?

 AIの進化はめざましく、できることが次々と増えてきています。雇用を守る意識が強い日本ではまだAIによるリストラ(人員削減)は大きく進んではいませんが、その代わりに余った人員を高度な業務や新規事業に投入するという動きが出てきているのは見過ごせません。

 朝日新聞デジタル版の別の記事では、
東京商工リサーチ
が行った今年4月の調査を紹介しています。生成AIの業務活用を「推進している」と答えた企業約2千社のうち29%は、今後5年で業務の効率化で「配置転換」を行う可能性があると回答。「従業員数の抑制」を行う可能性があると回答した企業も16%を占めました。「配置転換」と「抑制」を合わせた割合は、大企業に限ると計58%に達したといいます。

 「ホワイトカラー消滅」(NHK出版新書)の著者で、日本共創プラットフォーム会長の冨山和彦さんは朝日新聞のインタビューで、

・プログラマーなどのIT系ホワイトカラーの仕事が最も早く、次いで総務や営業のバックオフィス(営業支援・管理)など「ルールベース」で動いている仕事がAIに代替される
・会計士や弁護士であっても、過去の判例や学説を探すような2次情報の検索・分析は完全にAIの独壇場になる。会社で人数が多い「中間管理職」も、AIと競合するため非常に厳しい立場に立たされる。

 と分析。生産性の低いホワイトカラーの仕事は失われていき、「価値の高い対人サービスや現場労働の集約型産業に富が集まってくる」と語っています。

「対人サービス」「現場労働」がキーワードに

 AIに代わられる仕事が増えていくということは、AIが代われない仕事の価値が上がっていく、ということでもあります。冨山さんのインタビューにある「価値の高い対人サービス」「現場労働の集約型産業」は、そういう仕事を見つけるヒントになるかもしれません。AIの進化はめざましいものの、いまも最終的な判断を下すのは人間であり、人間と人間の関係性の先にビジネスが生まれていることに変わりはありません。また、人間が手を動かして価値を生みだす分野は、まだAIに浸食されていないところでもあります。技術の進歩は日進月歩ですが、今後の自身のキャリア、生き残る方策を考えるうえで、AIとの向き合い方は避けては通れないテーマです。折に触れて考えるようにしてください。

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