2026年02月19日

女性候補は過去2番目に多い当選 高市人気を反映? ジェンダーギャップ解消進む?【イチ押しニュース】

テーマ:政治

 2月8日に投開票が行われた衆院選では、68人の女性候補が当選を果たしました。これは、前回2024年衆院選の73人に次いで過去2番目に多い数字です。高市早苗首相率いる自民党は、立候補した43人中39人が当選を果たしました。

 男女格差の現状を示す「ジェンダーギャップ指数」の2025年版で、日本は148カ国中118位。なかでも「政治」分野は125位と下位に低迷しています。女性首相の誕生に続き、衆院議員にしめる女性の割合も高めて、政治がリーダーシップをとって日本のジェンダーギャップを解消させていくことは期待できるでしょうか。今回の結果をもとに考えてみたいテーマです。(編集部・福井洋平)
(写真・会見で記者の質問に答える自民党の高市早苗総裁=2026年2月9日/写真はすべて朝日新聞社)

【衆院選結果振り返り】女性候補者の割合は過去最高 一番多かったのは

 まず、今回の衆院選で立候補した女性はどれくらいいたのか、振り返ってみます。

 女性候補の総数は313人で、前回(2024年)衆院選の314人とほぼ同じ数でした。また、候補者の比率は前回より1.0ポイント増え、過去最高の24.4%に達しました。

 女性の候補者数が最も多かった政党は参政党で、190人中82人(43.2%)と半数近くが女性候補でした。このうち、8人が当選しています。次いで共産党が176人中67人(38.1%)で、委員長の田村智子氏をふくむ2人が当選しました。

 政策の柱の一つに「ジェンダー平等を進める」と明記する中道改革連合は、236人中47人(19.9%)で、当選者は8人です。国民民主党は104人中26人(25.0%)で当選者は8人、今回躍進したチームみらいは14人中3人(21.4%)で当選者2人でした。

 自民党の女性候補は、337人中43人(12.8%)。前回は過去最多(55人)でしたが、そこから減っています。ただ、歴史的な大勝をうけ、39人が当選を果たしました。北海道比例ブロックから立候補した村木汀氏は、最年少の25歳で当選を果たしています。

 自民党と連立を組む日本維新の会は89人中13人(14.6%)で、当選者は1人(全体の当選者は36人)にとどまり、男女比でみればかなり偏った構成になっています。候補者の数を見る限りでは、与党の自民、維新が女性の候補擁立に力を入れたという印象は特に感じません。
(写真・宮城4区で当選確実の報道を受け、喜ぶ自民党の森下千里氏=2026年2月8日)

【女性票の行方】自民党に投票した割合が男性より伸びる

 では女性有権者、とくにいま社会に出ている現役世代は、どの政党を支持したのでしょうか。

 ANN(テレビ朝日系)が投開票日に行った出口調査によると、若者・現役世代(10~50代)のうち自民党に投票した割合は、男性が35.9%、女性が37.2%にのぼりました。わずかですが、女性のほうが男性より比率が高くなっています。

 なお、自民党が敗れた2025年の参院選で自民党に投票した10~50代の割合は男性16.1%、女性15.5%となっており、男女とも大きく投票率が伸びていますが女性の伸びが男性を上回っています。1年もたたないうちに自民党人気がはねあがった要因は高市首相人気とみて間違いはないでしょう。

 なぜ、高市首相は人気が高いのか。朝日新聞が衆院選で投票した広島市内の有権者に取材し、高市内閣を支持すると答えた男女200人に話を聞いところ、一言目にかえってきた言葉で最も多かったのは「女性」で34人(17%)、うち30人が女性有権者だったそうです。「同じ女性だから応援できる」「女性初なので頑張ってほしい」「気がつくところが女性と男性で違うと思う」などの回答がありました。

 一言目で政策に触れたのは33人(17%)。このうち外交を挙げたのは15人で、「中国、韓国との中で外交をうまくやっていると思う」「中国への毅然(きぜん)とした態度」などの声が上がっています。

【野党の女性登用】中道は幹部に女性が不在

 高市首相・総裁のもと、自民党は党の幹部である党三役総務会長に有村治子参院議員がつき、高市内閣には片山さつき財務大臣、小野田紀美経済安全保障担当大臣と2人の女性が入閣しました。女性が党や内閣をひっぱるポジションにいることは、女性票獲得に大きくプラスになったと考えられます。

 逆に立憲民主党と公明党が合併してできた中道改革連合は、共同代表だった野田佳彦氏(元立憲)、斉藤鉄夫氏(元公明)をはじめ、共同制を取った主要5ポストがすべて男性でした。

 女性候補者の数も比率も自民党を上回ったにもかかわらず、主要な党幹部に女性が不在という構成は、いわゆる「ガラスの天井」を思い起こさせます。ガラスの天井とは組織内で不当に昇進が阻まれることで、とくに女性が女性というだけで一定の役職以上に就くことが難しい状況を指す言葉です。

 高市首相が総裁選に3回挑戦してガラスの天井を打ち破ったのに対し、特に立憲民主党は過去3回の代表選に立候補した女性は2人で、いずれも最下位に終わっています。衆院選後に小川淳也氏(元立憲)が新代表になり、代表代行に元公明党の山本香苗氏が起用されましたが、勢力が大きく削られた中道が今後どのように女性のリーダーを育てていくことができるのか、注目していきたいと思います。
(写真・衆院予算委で挙手する高市早苗首相(手前)と片山さつき財務相=2025年12月9日)

女性政策は進むのか?

 高市政権は今回の衆院選で「責任ある積極財政」を掲げ、選挙後の会見で高市首相は「安全保障政策の抜本的強化、政府のインテリジェンス機能の強化」といった政策もすすめると打ち出し、さらに憲法の改正にも意欲を見せました。

 一方で女性活躍に関しては、自民党の政権公約で「『女性版骨太の方針』等に基づきあらゆる分野における政策・方針決定過程に女性が参画する機会の確保に取り組む」などと掲げていますが、たとえば公約筆頭に掲げている「危機管理投資・成長投資」が20項目に及ぶのに対して「女性活躍」は4項目と決して多くはありません。中道改革連合が「誰もが個性と能力を発揮できるジェンダー平等を推進し、選択的夫婦別姓クオータ制を実現する」と踏み込んだのとは対照的で、とりわけ選択的夫婦別姓の議論は停滞することが予想されます。

 前に書いたように、自民党の女性候補者は前回衆院選よりも減っている状況です。ガラスの天井を打ち破った高市氏は、果たして自分に続く女性リーダーを生み出す後押しをしていくことができるのか。かつてない大きな与党勢力を率いることになった高市氏の手腕が今後問われることになります。みなさんの今後の働き方にもかかわってくる可能性のあるテーマですので、ぜひ高い関心をもって政治の動きをチェックし続けてください。

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