2026年02月05日

総選挙で注目「消費減税」主要政党の主張の違いは? 基本から知ろう【イチ押しニュース】

テーマ:政治

 2月8日に投開票が行われる総選挙で争点のひとつとなっているのが「消費税」です。ただ、与党である自民党日本維新の会をはじめ、主要政党がこぞって消費税の減税、廃止を訴えており、違いがはっきりと見えてきていません。各党はどのような主張をしているのか、選挙結果によってどのように税金の仕組み、社会の仕組みが変化していくのか。基本的なことから整理してみたいと思います。(編集部・福井洋平)
(写真・野菜などの食料品には現在、消費税が8%かかっている/写真、図版はすべて朝日新聞社)

安定した収入見込める消費税は社会保障経費にあてられる

 そもそも、消費税とは何なのでしょうか。主要政党がこぞって減税を訴えているのですから、いっそ廃止してもよさそうなものですが、どういった働きをしている税金なのでしょうか。

 消費税は、モノやサービスを買ったときに収める税金です。2019年に消費税率はそれまでの8%から10%に引き上げられましたが、飲食料品など一部の対象商品は8%のまま据え置きになっており、現在は2種類の税率が存在しています。個人や会社などの法人が稼ぎに応じて支払う所得税法人税は景気の善し悪しに左右されますが、消費税は景気の良し悪しや人口構成の変化にかかわらず、安定した収入が見込めるという特徴があります。そのため消費税は、安定した運営が必要な社会保障の4経費(年金、介護、医療、子ども・子育て支援)にあてることが法律で決まっています。

 そういう意味で私たちの生活に直結する重要な財源なのですが、近年厳しさを増す物価高対策として消費減税がクローズアップされるようになっています。昨年の参院選では、野党が一斉に消費減税を掲げるなかで、自民は減税を打ち出さずに大敗。今回の衆院選では、高市首相も「食料品の消費税ゼロ」を打ち出し、主要政党が軒並み消費税減税・廃止を掲げる状況となっています(図)。

与党は2年限定で飲食料品税率ゼロ、国債は発行せず

 今回の総選挙で各党が訴えている消費減税政策は、どのように違うのでしょうか。具体的な公約と、減税したぶんの穴埋めをどうするかの主張をみてみましょう。

 自民党と日本維新の会は、現在8%の飲食料品の税率を2年間限定で0%にすることを検討する、としています。これにより年間で5兆円の税収が失われますが、高市早苗首相は赤字国債、いわゆる借金には頼らず、企業向けに税金を安くする「租税特別措置」(租特)の見直しなどでこの穴埋めをする意向です。

 財務省の試算ですと、2023年度は法人税の租特で、2.9兆円税収が減っています。これを仮にすべて廃止してもまだ2兆円ほど財源が足りません。あとは歳出の見直しで財源を見つける必要性がありますが、2兆円の穴をふさぐたけの見直しができるかは未知数です。高市政権が決めたガソリン・軽油の旧暫定税率廃止や教育無償化でも歳出カットを目指しましたが、約1千億円しか見つけられませんでした。
(写真・党首討論に臨む自民党の高市早苗総裁=2026年1月26日)

中道はずっと飲食料品税率ゼロ、「ファンド」運用益頼る

 総選挙前に立憲民主党公明党が組んで誕生した中道改革連合は、与党と違い飲食料品については恒久的な税率ゼロを公約に掲げています。さいしょの2年間はコロナ禍以降に乱立した国の「基金」から資金を引きあげ、その後は国などの資金を統合して管理する「ファンド」を新設し、その運用益を財源にあてるとしています。

 基金とは、省庁が複数年度にわたって支出する予算をまとめて積んでおく制度のことです。国のルールでは3年分の支出が上限となっていますが、これを上回る資金が9兆円あり、最初の2年間はこれを使うことを想定しています。しかし、いったん国庫に返納しても、将来、その分の予算を改めて投入するとしたら、財源とはいえません。

 一方、「ファンド」の原資はどこから出るのでしょうか。中道改革連合は年金積立金や、為替介入に使う外国為替資金特別会計などを挙げています。ただ、年金の運用益は将来の給付にあてるためのもので、それを「流用」する案は、国民の反発を招きかねません。また、外為特会も剰余金の多くはすでに翌年度の一般会計の歳入に繰り入れていますし、含み益についても、実際に財源として使うのは簡単ではありません。

 れいわ新選組参政党は消費税の全廃を訴えています。全廃なら34兆円にのぼる税収減となりますが、これを国債でまかなうとしています。一律5%への減税を訴える国民民主党も、「あらゆる財源を使ってやる」(玉木雄一郎代表)と、国債発行を辞さない構えです。

税収増あてにする議論も、支出増が税収増上回る現状

 経済成長による税収増や、国有財産の売却など税以外の収入をあてにする議論も出てきています。確かにコロナ禍後の経済正常化や物価高によって税収は増えており、2026年度当初予算の税収は、2025年度当初より5.9兆円多い83.7兆円と見込まれています。

 ただ、税収増よりも支出増が上回っていることに注意が必要です。たとえば物価高や人件費の上昇で、合計で約1兆円分支出が押し上げられています。また、金利があがったことで国債費も3兆円以上積み増しされており、税収が増えたといっても支出増をまかなうには至っていないのです。

 ひとくちに消費減税といっても各党の主張、特に財源をどう確保するかについての主張はさまざまです。1989年に導入されてから消費税が減税されたことはこれまでになく、減税することでどういった影響が出てくるのかも未知数です。朝日新聞の記事で、あるエコノミストは、「財源を確保せずに消費減税を行えば、金利が急上昇し、住宅ローンを抱える個人や企業の資金調達に悪影響を与える」と指摘しています。今回の選挙結果で、税制はどのように変化していくのか。日本の景気動向や社会保障制度にもかかわる大きな問題ですので、ぜひ高い関心をもってニュースをチェックしてください。

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