話題のニュースを総ざらい!面接で聞かれる!就活生のための時事まとめ

2026年07月15日

スポーツ

大熱戦ワールドカップ、チケット代高騰も ビジネス目線でチェックしよう【時事まとめ】

W杯をビジネス目線でチェックすると

 就活生に人気の高いエンターテインメント業界。そこを志望する際には、エンタメを「好き」というだけではなく、「ビジネスとしてどうか」という観点をもつことが必要です。今回は、まもなく決勝戦を迎える世界最大級のスポーツイベント、サッカーワールドカップ(W杯)をとりあげます。アメリカカナダメキシコで開かれ大変な熱戦がつづいているW杯ですが、一方でチケットの高騰など、運営の課題も取り上げられています。W杯で何が起こっているのか、グランドの上以外の動きにも注目して、ニュース感覚を養っていきましょう。(編集部・福井洋平)
(写真・サッカーワールドカップ北中米大会 準々決勝 フランス―モロッコ 後半、競り合うフランスのエムバペとモロッコのハキミ=アメリカ・ボストン/写真、図版はすべて朝日新聞社)

【チケット高騰】決勝のチケットは100万円越え

 今回、W杯のチケットは初めて、航空券や米国のスポーツ観戦で一般的な「ダイナミック・プライシング」を導入。需給に応じて柔軟に価格を変える仕組みで、これにより価格が上がりやすくなりました。さらには、チケットの転売も認めています。朝日新聞の記事によると、公式転売サイトの6月2日時点での決勝戦のチケットは、最低価格がなんと約7660ドル(約122万円)に達していたそうです。円安の影響はあるにせよ、一般人が簡単に手を出せる価格ではありません。転売サイトでの購入者と販売者の両方にかかる手数料15%は、国際サッカー連盟(FIFA)に入ります。

 記事では、これまで3大会を現地観戦してきたお笑い芸人「カカロニ」すがやさんの「今まで1万円で見ていた試合が10万円になっている」というコメントを紹介しています。ちなみに、今回と同じアメリカで32年前の1994年に行われたW杯では、決勝のチケットは高い席でも475ドル、当時のレートで5万円弱だったそうです。
(写真・日本代表とチュニジア代表の試合が行われたエスタディオ・モンテレイ=2026年6月18日、メキシコ・モンテレイ近郊)

【ユニバーサルアクセス権】地上波で放送するのは全試合の6割

 テレビの放映権料も高騰しており、資金力のあるネット配信事業者の存在感が高まっています。今回のW杯は、全104試合をイギリスのスポーツ専門動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)」が中継していますが、NHKと日本テレビ、フジテレビの3局が地上波で放送するのは計約60試合程度です。放映権の問題は、全試合を動画サービスのネットフリックスが放送し地上波での放送が行われなかった野球のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)でもクローズアップされました。このため、国民的関心の高いスポーツ大会などは無料で見られるようにする制度や考え方を指す「ユニバーサルアクセス権」の導入が検討課題となっています。こうなると、高額の放映権を税金でまかなうことの是非も問われることになります。

【FIFA】開催都市は儲からず、儲かるのはFIFAだけ?

 実は、高騰しているのはチケット代や放映権料だけではありません。

 開催地であるアメリカでは、スタジアムとニューヨーク市中心部を結ぶ鉄道は、大会日の往復運賃が98ドル(約1万6千円)に設定されたといいます。当初はさらに高く150ドルだったといい、地元の州知事は「FIFAがファンの輸送にかかるコストを負担するべきだ」と主張しています。

 スポーツ経済学に詳しいアメリカのアンドリュー・ジンバリスト教授は朝日新聞の取材に「W杯で開催都市が経済的な恩恵を受けることはないと明らかになった」と語っています。FIFAはW杯の開催都市に対して、物流や衛生管理、交通警備、スタジアムの人工芝から天然芝への張り替えなどを要求します。さらにスタジアムにある看板や広告掲示はすべて取り外し、FIFAのスポンサー広告に変え、そこから収入を得ます。FIFAが稼ぐ一方、地元の負担ばかり大きくなっている構図が見えます。
(写真・スイスにあるFIFAの本部)

ハイドレーションタイムもCMのため?

 FIFAは2023~26年の4年間で得た130億ドル(約2兆800億円)の収入のうち、9割近くを「サッカー界の発展」に再投資していると説明していますが、その「投資」のうち6割以上はW杯などの大会運営費にあてられ、加盟協会などへの支援は2割弱にとどまっています。ジンバリスト教授は、高額な給与やボーナスが会長を含む役員に振り込まれていることも指摘しています。ちなみに、スイスのチューリヒに本部を置くFIFAは、非営利目的の団体としての税制優遇を受けているそうです。サッカー強国の一角に入りつつある日本はこれからFIFAとどう向き合っていくべきなのか、今後の課題になってくると感じます。

 ニューヨーク在住のジャーナリスト、津山恵子さんは、朝日新聞に寄せたコラムで今大会から前後半それぞれ途中に導入された「飲水(ハイドレーション)タイム」について、テレビ局などの広告収入を増やすためという報道が相次いでいると紹介しています。FIFA会長は「FIFAへの追加収入は生じていない。純粋にスポーツ面の理由からだ」という声明を出していますが、英BBCは飲水タイム中の広告で、2億5千万ドル以上の収益をもたらす可能性があると報じています。確かに相当に暑い気候下で、ケガを減らすために飲水タイムが設けられることは理解できますが、日本の民放でもその間にCMがしっかり挟まれていることには複雑な気分になります。

 サッカーW杯のように多くの人が関心を寄せるイベントは、それだけ大きなお金も動きます。エンタメ業界をめざす人もそれ以外の人も、ぜひスポーツの結果だけを見るのではなく、多角的な見方でスポーツイベントをとらえられるようにしてほしいと思います。

【選手の偏在】8強進出チームの選手8割が5大リーグ国所属

 決勝トーナメントで激闘を繰り広げる各国の選手たちですが、スターたちの多くはヨーロッパ、特にイングランドスペインドイツイタリアフランスの「5大リーグ」に集中しているというデータもあります。今回出場した全48チームの選手で5大リーグのある国・地域のクラブに所属する選手は44.1%ですが、これが8強進出チームになると83.2%と倍近くに跳ね上がっています。欧州以外で唯一4強に残ったアルゼンチンも、エースのメッシは今でこそアメリカのチーム所属ですがキャリアの大半は欧州のチームでプレーし、そのほかチームの大多数も欧州でプレーしています。日本代表選手も、26人中ゴールキーパーの2人と長友佑都(FC東京)をのぞく23人が欧州クラブに所属しています。世界中の優秀なタレントがヨーロッパに集中していく構図は今後も崩れそうになく、日本のJリーグを含め他の地域のサッカークラブがどうチーム強化に向き合っていくのかも、今後の課題となりそうです。

◆朝日新聞デジタル版のベーシック会員(月額980円)になれば毎月50本の記事を読むことができ、スマホでも検索できます。スタンダード会員(月1980円)なら記事数無制限、「MYキーワード」登録で関連記事を見逃しません。大事な記事をとっておくスクラップ機能もあります。お申し込みはこちらから