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2026年06月26日

経済

株主総会が集中する6月 「物言う株主」って何? 基本から理解しよう【時事まとめ】

「物言う株主」からの株主提案が過去最多

 6月26日は、3月期決算上場企業の株主総会がピークを迎える日です。今年はアクティビスト、いわゆる「物言う株主」からの株主提案が過去最多となりました。

 そもそも、株主総会とは何で、どういう働きをするものなのでしょうか。「物言う株主」とは、いったい何を言う株主なのでしょうか。みなさんが志望する会社の多くは株式会社で、株主総会とは切っても切り離せない関係にあります。「物言う株主」の増加で何が変わりつつあるのか、基本から理解しておきましょう。(編集部・福井洋平)
(写真・トヨタ自動車の株主総会の会場に向かう株主ら=2026年6月17日、愛知県豊田市/写真、図版はすべて朝日新聞社)

【株主総会とは】株主が参加して会社の重要事項を決める

 まずは、最近ニュースでよく聞く「株主総会」とは何か、おさえておきましょう。

 会社はもうけを得るために活動しているわけですが、そのためには工場や店舗を建てたり、事業を拡大したりするのにお金が必要です。こうしたお金を、「株式」を発行して集める会社が「株式会社」で、「株式」を買った人のことを「株主」といいます。株主は個人でも、会社組織などの法人でもなることができます。

 「株主」は会社がもうかったらその利益をわけてもらったり(配当)、会社の経営に参加したりすることができます。ちなみに、会社がうまくいかず倒産してしまっても、株主は株式を買った額以上に損をすることはありません。これを「有限責任」といいます。これにより、株主は安心して会社の株を買うことができ、株式会社はたくさんの資本を集めることができるという仕組みになっています。この株主たちが参加して、会社の重要事項を決める場が「株主総会」なのです。3月に決算をする会社の多くは、6月に株主総会をするため、今の時期に株主総会が集中するのです。

【何を決める】経営者を選んだり解任したりすることも

 では、株主総会では何を決めるのでしょうか。

 一番大切なのは、会社の経営をまかせる取締役(役員)を選んだり、解任したりすることです。また、会社同士の合併、会社のルールである「定款」の変更なども株主総会で決まります。株主は、持っている株の数に応じて株主総会で意思を表示する権利(議決権)も持っています。一定以上の持ち株があれば、自分から提案をすることもできるのです

 この「株式」を、証券取引所で誰でも売ったり買ったりできるようにしている会社のことを「上場企業」と呼びます。上場企業は一般的には上場していない企業=非上場企業に比べて信用力があり、資金の調達もしやすくなります。一方で、上場企業には株主に対して財務状況を公開する義務があるなど、さまざまな制約も課せられています。連日、株の値段が上がっているというニュースが報じられていますが、これは上場されている株の値段が上がっているということを指します。
(写真・株主総会に登壇したソフトバンクグループの孫正義会長兼社長=2026年6月24日、東京都千代田区)

【アクティビストとは】会社に経営改善求める株主、近年提案が増加

 株式をたくさん取得したうえで、会社の経営改善を求めたりする投資家のことを「物言う株主」「アクティビスト」と呼びます。経営が改善されもうけが増えれば株主の取り分も増えるので、こういったことをするわけです。上場企業は非上場企業に比べて株式の取得が簡単で、こういった物言う株主が誕生しやすくなります。最近は、経営者と対立して、役員の交代や経営改革を求めて株主提案を出すケースも増えています。

 三菱UFJ信託銀行によると、6月の株主総会でアクティビストなど機関投資家による株主提案は139議案。前年から2議案増え、最多を更新したそうです。議案をテーマ別(重複可)に見ると、「役員の選解任」が前年より5件増え、19件となりました。社外取締役の人数など「ガバナンス」は3件増えて27件で、「株主還元」を求める議案はテーマ別で最も多い41件ですが、前年比で10件減り、減り幅は過去最大となっています。

【役員選解任】KADOKAWAは社長解任を求められる

 出版大手で就活生にも人気が高いKADOKAWAは、アクティビストから経営トップ解任を求められた会社のひとつです。株式の13.8%を保有する筆頭株主である香港の投資ファンドのオアシス・マネジメントが「KADOKAWAは非常に優れた資産を持っているが、夏野剛社長の下では持続的な利益や成長につなげることができていない」などとして、夏野社長の解任を求めました。2026年3月期の純利益12億円は、2021年に夏野氏が社長に就任して以降でみると、ピークの2022年3月期と比べて10分の1以下に減っており、業績は芳しくありません。議案は否決されましたが、夏野氏再任への株主の賛成率は59.68%で、前年の90.25%より大幅に低下しました。

 また、フジ・メディア・ホールディングスに改革を迫ったことで知られているアメリカの投資ファンド「ダルトン・インベストメンツ」は、前年より8社多い24社に提案を行い、うちヤクルト文化シヤッターなど6社に対してダルトンの関係者を取締役に選任するよう求めました。
(写真・KADOKAWAの定時株主総会は、往年の人気特撮映画「大魔神」の像がそびえる「角川大映スタジオ」で開かれた=2026年6月24日、東京都調布市)

【なぜ提案増加】歴史的株高で、成果上げたい気持ちが出ている?

 なぜ、役員の選解任といった「過激」な提案が目立つようになってきたのか。三菱UFJ信託銀行は、近年の歴史的な株高が背景にあると説明します。この株価上昇は、AI(人工知能)や半導体に関連する企業の好業績が押し上げています。アクティビストはこのトレンドより高い成果を達成するために、相対的に株価が低いと判断した企業に対して、インパクトのある提案をつきつけているというのです。アクティビストもスポンサーからお金を預かって運用しているわけですから、何かアクションを起こしてスポンサーにアピールしないといけない、という動機もあるとみられます。

 アクティビストは短期間で成果をあげなければいけないことから、会社に対しても目先の利益を追うように求めることが多く、批判も大きい存在です。アクティビストに対抗するため、株主優待制度の拡充をすすめるなど、個人株主を重視する方針を取り始める会社も出てきました。

【歴史的背景】「持ち合い」解消でアクティビスト増加 非上場のメリットも

 歴史をさかのぼると、日本の企業は長年、銀行などの取引先同士でお互いに株式を保有する「持ち合い」という慣行があり、しがらみのなかでお互いに厳しいことを言ったりしないようにしてきました。これが、低収益に甘んじてきた要因ともされています。しかし2015年にコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が定められたことで、持ち合いの解消が進むことになりました。その結果、新しい株主を開拓しなければいけなくなり、アクティビストの存在感が増すようになってきたのです。これからの上場企業は、アクティビストを含めた幅広い株主の納得を得られるよう、これまで以上に収益性をしっかり上げていく経営が求められることになりそうです。

 上場企業は一般的に社会的な信用性が高いとされていますが、このように株主の短期的な意向によって経営判断が大きく左右されるというリスクもあります。そのため、サントリーホールディングス竹中工務店など、大きな企業であっても非上場の企業があります。ちなみに、朝日新聞社も非上場です。就活で会社を選ぶ際には、会社が上場しているか、非上場かにも着目して情報を集めてみてください。
(写真・サントリーホールディングスの看板=東京都港区)

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