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2026年06月12日

社会

少子化止まらず、10年で30万人減 今後の日本どうなる? 対策はあるのか?【時事まとめ】

2025年に生まれた子どもは67万1236人

 少子化の勢いが止まりません。2025年に日本で生まれた日本人の子どもの数(出生数)は67万1236人で、10年連続で統計開始以来の過去最少を更新。2016年にはじめて100万人を割り97万7242人となりましたが、そこから10年で実に30万人も減り、減少ペースが加速しています。

 少子化が進めば日本の人口、とくに働く世代が減っていき、経済成長は鈍くなります。加速する少子化は今後の日本をどう変えていくのか、対策はありうるのか。みなさんの今後の生活にも関わる重大なテーマですので、ぜひこの機会を考えるきっかけにしてください。(編集部・福井洋平)
(イラストはiStock)

【日本の少子化】出生数が急激に減少、人口は30年後に1億人切る

 改めて、日本の少子化の現状についてまとめてみます。

 日本の出生数は、太平洋戦争のあと年間270万人に迫り、いわゆる「第一次ベビーブーム」(1947~1949年)が訪れます。このとき生まれた世代を「団塊の世代」と呼び、この世代が親となり出産した1971~1974年の「第二次ベビーブーム」では、出生数は年間約200万人となっていました。これ以降、出生数は急速に減少します。1990年代から2015年まではペースが少し緩み、120万人台から100万人台へ緩やかに減少していきました。現在20歳の方が生まれた2006年の出生数は109万2674人です。

 しかし、2016年にはじめて100万人を切ってから減少ペースは再び加速し、わずか8年で70万人を切りました。2023年の国の推計では出生数が67万人台になるのは2040年とされていましたが、実に15年も早まったことになります。2006年からの減少幅40万人は、品川区の人口(約42万人、2026年6月現在)に相当します。なお、1人の女性が一生の間に産む見込みの子どもの数を表す「合計特殊出生率」も2025年は1.14となり、こちらも1947年の統計開始以降で過去最低になりました。

 少子化の進行にともない、日本の人口もじわじわ減っています。2008年の約1億2808万人をピークに2025年は約1億2305万人まで減りました。約30年後には、日本の人口は1億人を切ると言われています。

 少子化の原因はさまざま言われていますが、結婚しない人の増加、いわゆる「非婚化」もその原因の一つとされています。2023年の1年間に結婚した夫婦の数は、戦後初めて50万組を下回っています。
(図表はすべて朝日新聞社)

【少子化の影響】経済成長鈍化、社会保障も危機に

 少子化は、くらしにどのような影響をもたらすでしょうか。

 働く人の減少は、人手不足を加速させます。いま20代前半の世代は1学年あたり約100万人いますが、それでも人手不足が叫ばれ、就職活動は学生有利の売り手市場と言われています。いまから20年後、1学年約70万人まで若い人が減ったら、どれほどの人手不足になってしまうのでしょうか。働き手が足りなくなることで、経済成長も鈍くなることが予想されます。

 また、日本は少子化とともに高齢化も進んでいます。医療や介護、年金などの社会保障制度は働き手である現役世代(15~64歳)が払う社会保険料や税金で主に支えられているため、将来的には制度が保てなくなる可能性も出てきます。現在加速している少子化は、皆さん就活生の老後にも大きくかかわってくる問題なのです。

産科、小児科にも影響

 これまで将来的な影響を見てきましたが、少子化の影響はすでに身近なところにも及んでいます。朝日新聞は記事で医療現場、特に産科や小児科への影響を指摘しています。

 日本は世界で最も低いレベルの妊産婦死亡率、新生児死亡率を誇っています。お産が危険なもの、危ないものという意識もかなりなくなってきていると思いますが、出生数が減ることでリスクの低い分娩を担う地域の診療所が維持できなくなってきているというのです。国内でお産ができる施設は年5%のペースで減り、診療所は初めて1千施設を下回りました。また、少子化により小児科の経営も苦しくなり、全国のこども病院が慢性的な赤字に苦しんでいるともいいます。こども病院を集約化するという対策も考えられますが、緊急時に病院が遠いとこどもや家族の負担は大きくなります。安心してどこでも子育てができるようにするためにはどうすればいいか、大きな課題になっていると思います。専門家は、この少子化はいずれ成人の診療科にも影響し、「これまでのように近くでずっと同じ医療が受けられることは、難しくなるだろう」と指摘しています。

学食の運営にも影響が

 もちろん、教育業界への影響も大きいものがあります。信用調査会社の東京商工リサーチは、2025年の学習塾の倒産が前年比4%増の55件となり、3年連続で過去最多となったと発表しています。倒産企業の9割以上が従業員5人未満の中小・零細企業で、少子化で競争が激しくなるなか資本力が弱い企業は淘汰されつつあるということがわかります。

 朝日新聞は、高校の「学食」が経営危機にあるという状況を伝えています。少子化にくわえて物価高も追い打ちをかけ、信用調査会社・帝国データバンクの調べ(2022年度)では学食などの給食事業を手がける374社のうち34%が赤字と回答、業績が悪化した業者は6割を超えたといいます。記事では、学食を地元住民も利用できるようにしたり、食堂で企業広告を流したりといった学食存続のための取り組みも紹介しています。地方では小中学校、高校の統廃合も進み、教育のあり方はこれから大きく変わることが予想されます。教育業界で生き残るためには、相応の工夫が必要となってくるでしょう。

【解決策】少子化がすぐ止まることはない

 今後、少子化が止まることはあるのでしょうか。

 政府はいま、「異次元の少子化対策」として、2028年度までに年3.6兆円規模の支出を増やすと決めています。日本は子ども・子育て支援の予算が先進国のなかでも低いとされてきましたが、これによってヨーロッパ並みに引き上げるねらいです。

 ただ専門家は、この予算が児童手当を増やしたり教育費を減らしたりなど、結婚後の子育てを支える政策が中心となっていて、十分な効果があるかは疑問と指摘しています。さきに述べたように、少子化の一因はそもそも結婚する人が減っていることだとされています。また、結婚したとしても子どもを持ちたいと希望する人も減っているとされ、そこへの対策がない限りは効果は限定的になるのではないか、というのです。この専門家は単に出生率改善だけを考えるのではなく、働き方改革をすすめ、女性も男性も働きやすく家事や育児を平等に担える社会をつくっていくことが、やがては結婚や出産を選びやすい環境につながっていくのではないか、と述べています。

 少子化に特効薬はなく、人口減少が簡単に止まることもありません。人口が減る中でどのようにして生産性を上げていけばいいのか、外国からの「移民」とどう向き合うべきか、より多くの人が生きやすい社会はどう築いていけばいいのか。考えなければいけないポイントはたくさんあります。これから社会に出るにあたって、ぜひ自分事としてとらえてほしい問題だと思います。

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