話題のニュースを総ざらい!面接で聞かれる!就活生のための時事まとめ

2026年05月15日

経済

純利益総額は過去最高も、フジテレビ、ホンダが赤字 3月期「決算」を読み解こう【時事まとめ】

3月期の決算発表が集中

 会社が1年間にいくら稼いだか、利益や損失はどれくらい出たかの「成績表」が「決算」です。多くの会社は4月~翌年3月までの1年間をいわゆる「会計年度」として決算をまとめており、ちょうどいま、5月にその決算発表が集中します。5月は、さまざまな会社のいまの「成績表」をチェックできる時期ともいえます。就活にも大いに役立つ「宝の山」ともいえるデータですので、ぜひチェックしてください。今回は、一連の問題で営業赤字となったフジテレビの親会社、EV(電気自動車)戦略見直しで上場初の赤字となるホンダのニュースをとりあげます。(編集部・福井洋平)
(写真・大企業の本社が入る東京・大手町周辺のビル群=2025年4月/写真、図版は朝日新聞社)

【全体の状況】純利益の総額は5年連続で過去最高に

 2026年3月期の上場企業の決算は、最終的なもうけを示す純利益の総額が5年連続で過去最高になる見通しとなっています。大きな要因となっているのが、AI(人工知能)関連への大きな投資です。これが、半導体や電機メーカーなど関連企業に強い追い風となっているのです。たとえば、IT大手のソフトバンクグループ(SBG)は純利益が5兆22億円で前年(1兆1533億円)の4.3倍に拡大し、過去最高となりました。「ChatGPT」で知られる米オープンAIへの投資利益が増えたことが大きな要因で、純利益が5兆円を超えるのは日本企業で初めてのことです。

 SMBC日興証券は、5月12日までに決算を発表した3月期決算の482社(全体の47.9%)についてまとめました。業種別の営業利益でみると、AI向けのデータセンター需要などから電気機器は前年同期より14.8%増、建設需要の高まりでコスト増を価格転嫁できた建設業は41.6%増となっています。昨年は米トランプ大統領の関税政策に世界が振り回されましたが、多くの企業はその波を越え、好決算が相次いだことになります。なお、今年2月に始まったアメリカ・イスラエルのイラン攻撃に伴う中東情勢の混乱は、まだこの決算にはほとんど影響を与えていないことには、注意が必要です。
(写真・オープンAIとのイベントで話すソフトバンクグループの孫正義氏=2025年2月3日、東京都千代田区)

【フジテレビ赤字】コンプラ強化、ビジネスモデル転換進める必要性

 そんな中、営業赤字に転落したのが、フジテレビの親会社であるフジメディアホールディングス(FMH)です。株式売却で純利益は64億円の黒字を確保したものの、営業損益は前年の182億円の黒字から、87億円の赤字へと落ち込みました。営業赤字は、認定放送持ち株会社に移行した2008年以降、初めてのことです。

 原因はいうまでもなく、傘下であるフジテレビが引き起こした一連の問題による広告収入の落ち込みです。2024年末、大物タレント(現在は引退)の性加害問題に対して人権意識に欠ける対応をした結果、フジテレビの企業統治が厳しく問われることになり、スポンサーは一時、400社以上から90社に激減。このため、上期の広告収入は前年同期比で73%減と大きく落ち込んでいます。

 フジテレビといえば、1981年に発表したスローガン「楽しくなければテレビじゃない」が有名でした。このスローガンを発表してから「オレたちひょうきん族」や「笑っていいとも!」といった番組が次々とヒットし、バラエティー番組を中心にフジテレビは全盛期を迎えます。ただ、その企業風土は次第に時代にマッチしなくなっていきました。

 問題を受けて設置された第三者委員会は、経営層を中心に男性優位で同質性が高い構造があり、人権意識が鈍くハラスメントが容認されやすい企業風土があったなどとして、フジテレビに改善を求めています。これを受けフジテレビは2025年4月、社内の一部に「楽しくなければテレビじゃない」を過度に重視した風土が根付いていた、として脱却を宣言。組織改革や企業理念の見直しなどの改革策を示しました。コンプライアンス強化のため、たとえば関係者との会合・会食には複数の上司による承認が必要としています。なかには、仕事関係者との交流がしにくくなったと訴える社員もいるようです。

 フジテレビは、映画やネット配信、海外展開などで多角的に収益を得る「コンテンツカンパニー」へと転換していくことも大きな課題となっています。かつてテレビ業界は花形、そのなかでもフジテレビは王者の風格がありましたが、いまや課題は山積しています。今回の赤字決算を機にフジテレビがどう生まれ変わっていくか、注目です。
(写真・フジテレビの新企業理念などについて説明する清水賢治FMH社長=2026年5月12日、東京・台場)

【ホンダ赤字】EV戦略で転換迫られる

 もうひとつ、大きな赤字を出して話題となっているのがホンダです。こちらは1957年に東京証券取引所に上場して以来、初めての赤字です。

 要因となっているのは、EV(電気自動車)3車種の開発停止に伴う巨額損失です。ホンダは2021年に「脱エンジン」目標を立て「2040年までに新車販売をEVとFCV(燃料電池車)のみにする」という大胆な方針を打ち出していました。2024年には米見本市でEVの新車種を発表するなど開発が進んでいましたが、主要市場とみていたアメリカで2024年ごろから普及のペースが下落。さらに2025年1月に誕生したトランプ政権がEV政策を大きく転換。9月にはEVへの税額控除を打ち切り、2026年2月には自動車の温室効果ガス排出規制の撤廃も決めました。アメリカ市場でのEV普及の見込みが立たなくなり、開発中止を決めたのです。

 3月にはEV戦略の見直しにより、最大2.5兆円の損失を出すと公表。2026年3月期の決算ではそのうち1兆5778億円を計上し、純損益が4239億円の赤字となりました。2027年3月度決算にも5千億円程度の損失を計上しますが、全体での黒字は確保する計画といいます。

 ホンダは今回の決算にあわせ、「脱エンジン」方針を取り下げ、「ビジネスアップデート」と称する新たな事業戦略も発表しました。今後3年間を四輪事業の再構築に取り組む期間と位置づけ、北米と日本、インドを重点地域と位置づけてハイブリッド車(HV)に開発や生産の軸足を移すとしています。また、「ホンダはEVから撤退するのかというと、決してそうではない」とも三部敏宏社長は発言しています。
(写真・ホンダの三部敏宏社長とEVブランド「ゼロ」のSUV=2025年10月29日、東京都江東区)

EV減速で半導体大手も赤字に

 EV減速に関しては、半導体大手のロームパワー半導体の生産設備を中心に約1936億円の減損損失を計上し、純損益が1584億円の赤字(前年は500億円の赤字)と過去最大の赤字幅になりました。社長はEV市場の急拡大を前提とした過去の大規模投資について「少し過剰だった」と語っています。

 会社が赤字を計上する理由はさまざまです。その赤字は今後も続きそうなのか、あくまで一時的なものなのか。赤字を機に会社が生まれ変わる見込みはあるのか、見込みは薄いのか。赤字という逆風下でこそ、会社の本当の力が見えてくるのかもしれません。今回は2社の赤字決算を取り上げましたが、ぜひ自分の志望企業、志望業界の決算もチェックして、会社選びの参考にしてほしいと思います。

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