話題のニュースを総ざらい!面接で聞かれる!就活生のための時事まとめ

2026年04月17日

国際

イラン情勢緊迫化で日常生活にも影響出始める 今後の展望は?【時事まとめ】

イランとアメリカ、合意できず

 今週の「週間ニュースまとめ」でも触れたように、アメリカとイランの戦闘終結に向けた協議は合意ができず、緊迫した情勢が続いています。その結果、石油関連商品の供給不安が広がり、私たちの生活にも直接的な影響が出てきそうです。政府もさまざまな対策をとっていますが、今後どのように事態は変わっていくのでしょうか。ニュースをしっかりチェックして、激変を続ける世界情勢が経済や日々の生活に与える影響について考える癖を身につけてください。(編集部・福井洋平)
(写真・原油価格の高騰の影響で、短縮営業と給油制限をしているガソリンスタンド=2026年3月19日、山形市/写真、図版はすべて朝日新聞社)

【ホルムズ海峡情勢】イランに対抗し、アメリカも「逆封鎖」

 まず、イランをめぐる最新の情勢と、日本に大きな影響を与えているホルムズ海峡の状況についてまとめます。

 アメリカとイスラエルが2月にイランを攻撃し、最高指導者のハメネイ師を殺害してから約1カ月半がたちました。停戦期間中の4月11日から仲介国パキスタンの首都イスラマバードでアメリカとイランが戦闘終結に向け協議を行いましたが、合意はできませんでした。アメリカ側はイラン側が核開発の停止を拒んだと主張し、イラン側は「重要な2~3の事項では意見の隔たりが残っている」としています。

 合意交渉が不調に終わったことで、特に影響が大きくあらわれているのが、アラビア半島とイランの間にあるホルムズ海峡の情勢です。ここは世界の原油の2割が通る重要な海峡ですが、攻撃を受けたイランは海峡を事実上封鎖してきました。交渉が不調に終わったことを受け、アメリカのトランプ大統領は4月13日、イランの港を発着する船を対象に、ホルムズ海峡の「逆封鎖」をはじめたのです。

【石油市場への影響】世界需要の1割が減少

 ホルムズ海峡は、国際法上はすべての船が自由に航行できる権利が保障されており、イランによる事実上封鎖は国際法違反にあたると考えられています。イランはホルムズ海峡は自国の主権が及ぶ「領海」と主張していますが、領海であっても商船は無害通航権が保障されています。また、海峡を通る船に通航料を課しているようですがこれも根拠がなく、いずれにしてもイランの行為は不当といえます。そしてもちろん、アメリカがホルムズ海峡を「逆封鎖」することも同様に認められません。現状、ホルムズ海峡はイランとアメリカによって不当にふたがされている状態なのです。

 国際エネルギー機関(IEA)は4月14日、3月の世界の石油供給量は前月比で世界需要の約1割にあたる日量1010万バレルが減少したと発表しました。ホルムズ海峡が事実上封鎖されていることで、主要産油国でつくる「OPECプラス」の生産量が大きく落ち、アメリカやブラジルが増産しているものの補えていないそうです。IEAは、石油市場が「歴史上最も深刻な供給ショックを受けている」と評価しました。そして、世界の3月の原油価格は過去最大の月間上昇幅を記録しています。ホルムズ海峡の封鎖状態が続けば、当然この石油不足、高騰状態も続くことになります。

【日本への影響】燃料も化学品も不足、価格高騰 日常生活直撃

 この影響が直撃するのが、日本です。日本が輸入している原油の9割は、ホルムズ海峡軽油で運ばれているためです。これは、世界のなかでも突出して高い依存度とされています。

 石油の不足とそれによる価格上昇は、日常生活のありとあらゆるところに影響を及ぼします。原油は精製されてガソリンや軽油、ナフサといった製品になります。ガソリンや軽油は車やバスの燃料となり、この価格があがればいろいろなものの輸送費もあがり、物価の上昇につながります。そしてナフサは様々な石油由来の化学品となり、ペットボトルや食品包装、衣料、医療器具、自動車部品などに姿を変えていきます。日常生活への影響は計り知れません。たとえば、

・繊維メーカーの東レ帝人の子会社などが衣類向けの合成繊維の値上げを発表。ユニクロなどを手がける衣料品大手ファーストリテイリングの役員は4月9日の記者会見で「(今期の業績に)足元の原油価格の上昇が直接的に影響することは極めて限定的」との考えを示したが、将来の値上げの可能性は否定せず
・コンビニ大手のファミリーマートは、弁当やおにぎりなどの店へのトラック輸送の回数を減らし、軽油を節約する検討に入った(4月8日朝日新聞デジタル版)
・不足の懸念がある医療物資について厚生労働省は4月10日、全国約1万3千カ所の医療機関を対象に、災害医療の情報を共有するシステムを活用し、供給状況の集約を開始。政府は現時点で供給に滞りはないとしている
・住宅設備大手のTOTOが4月13日、ユニットバスの新規受注を停止し、卸業者などに通知した。ホルムズ海峡封鎖の影響で、ユニットバスの製造に使う有機溶剤の調達に支障をきたしているため。この影響もあり、競合する住宅設備大手LIXILのユニットバスに注文が殺到、納期が「未定」になる(4月14日朝日新聞デジタル版)
・住宅に欠かせない資材の値上げや出荷制限が相次ぐ中、工務店の経営者は「家を作りたくても作れない状態になりつつある」と話す。塗料大手の日本ペイントは、3月19日受注分より建築用のシンナー製品を75%値上げ。賃貸住宅建設大手の大東建託は、燃料費や材料費のコスト増により、7月以降には資材の調達コストが15~20%程度増えると見込む(4月15日朝日新聞デジタル版)
・化学メーカーのクレハは、家庭用品の冷凍保存袋などを6月1日の納入分から値上げ。事務用品などを手がけるアスクルによると、梱包(こんぽう)資材やゴミ袋、医療用手袋などで品薄や欠品が生じており、一部商品では購入量を制限(4月15日朝日新聞デジタル版)

 などなど、影響は広範囲に及んでいることがわかります。

【今後は】脱炭素への動きも考える必要

 この状況が続けば、日本経済全体にもマイナスの影響を与えることは確実です。調査会社・帝国データバンクが4月9日に発表した企業アンケートによると、原油高が半年続けば主力事業を大幅に縮小せざるを得ないと答えた企業は43.8%にのぼりました。9割以上の企業は、中東情勢の緊迫化が経営に「マイナスの影響がある」と答えています。

 日本は石油の調達がとだえたときに備え、今年1月時点で約8カ月分の在庫を保管していましたが、この石油備蓄の放出を3月16日から開始。さらに、中東以外の原油調達先の確保にも乗り出しています。高市早苗首相は「年を越えて石油の供給を確保できるめどがついた」(4月7日、記者団に)と発言。政府は相次ぐ受注停止や値上げの動きをめぐり、原因は「供給の目詰まり」、つまり供給不足への不安から流通がうまくいっていないことにあると説明したり、「必要な(ナフサの)量は確保」していると強調したりと、必死に不安を打ち消そうと発信を続けています。国民が不安からパニックになることを恐れているとみられます。

 必要以上の不安視は禁物ではありますが、少なくとも今後は中東由来の原油に依存する経済は見直す必要があるでしょう。さらには、脱炭素への動きを加速させることも真剣に考えていく必要がありそうです。物価や日本経済の動きにくわえ、中長期的に日本の社会をどう変えていくべきなのか、そのために自分はどういう行動ができるのか、今回の件を機に自分にしっかり引きつけて考えていきましょう。
(写真・苫小牧東部国家石油備蓄基地=2022年7月)

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