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2014年08月21日

三井住友銀行、カンボジアの銀行に出資へ

銀行・証券・保険

三井住友銀が出資へ カンボジア最大手銀 (8月19日朝日新聞朝刊)

 三井住友銀行は18日、カンボジアで最も大きい銀行「アクレダ・バンク」に出資して筆頭株主になると発表した。日本の銀行がカンボジアの銀行に出資するのは初めて。カンボジアは経済成長が続いており、現地に進出する日本企業への貸し出しを増やすという。

【目のつけどころ】 銀行の東南アジア進出

 日本の銀行は、国内業務では逆風にさらされています。少子化のため将来の市場には大きな広がりが見込めず、また超低金利も長期化しているため収益が悪化しています。
 そこで銀行が熱い視線を向けているのが海外です。高い経済成長や人口増が見込まれているアジア圏はとりわけ注目株で、今回のニュースもこの姿勢の表れでしょう。なかでも三井住友銀行は、メガバンクでも先陣を切ってアジア進出を進めてきました。

 三井住友銀行がカンボジアに拠点を設けたのは2年前のこと。これは、内戦の激化を背景として1967年に当時の東京銀行が拠点を撤収して以来、実に45年ぶりとなる邦銀の再進出でした。

 今回の資本参加相手であるアグレダ銀行とは、このとき設置した駐在員事務所を足がかりに、協力関係を構築してきたようです。すでに進出半年後には業務提携を交わしていました。

 銀行が海外に業務基盤を築けば、日本のメーカーなどが工場を設けたり取引をしたりするときや、現地で設備投資をするときに資金融資を得られるなど、多くのメリットがあります。つまり銀行の海外進出は、日本の企業全体にとっても事業発展の弾みになりますから、大いに重要ですね。

 三井住友銀行では、カンボジアのほかにも昨年5月、インドネシアの年金貯蓄銀行に約1500億円を出資するなどしています。また、ほかのメガバンクでも、みずほ銀行がベトナムの銀行に出資したり、三菱東京UFJ銀行がタイの銀行を買収したりと活発です。

 これまではアジア進出と言えば、まず中国に目が向いていました。しかし人件費の高騰や尖閣諸島問題をめぐる関係悪化などもあり、かつての熱気はありません。今後は一層、東南アジア方面へのシフトが加速するとも見られ、関心が高まっています。

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