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2014年05月30日

日本、有機ELから撤退?

精密機器・電子機器

日本、有機ELから撤退 (5月25日朝日新聞朝刊)

 次世代テレビの「本命」として有機ELディスプレーの開発をしていたソニーとパナソニックが、ともに有機EL事業から撤退する方針を固めた。大型化に伴う製造コストの引き下げなどが難航したためだ。有機ELの大型テレビ開発から日本勢が事実上、姿を消す。

【目のつけどころ】 「撤退」「事業統合」どちらに注目するか

 どう読み解くかが、問われる記事です。ぜひ、自分で考えてみましょう。
 新しい技術として期待された日本の「有機EL」というディスプレー技術が、不調であることを伝えています。見出しに「撤退」とあります。本文には「日本勢が姿を消す」とあります。
 つまり、記事の冒頭までを読む限りでは、
「日本から有機ELの大型テレビ開発が消える」
 ということしか書かれていませんから、読者はおそらく「有機ELはもうダメなのだ」と感じるでしょう。

 しかし、もう少し読み進めると、別の側面が出てきます。続く第2段落には、こうあります。
「ソニーとパナソニックは、ジャパンディスプレー(JDI)という会社に、有機EL事業を売却する」
 あれっ? ということはJDIが、有機ELの開発を引きつぐじゃないか!
 はい、そうなのです。つまり日本から消えるのは、「大型テレビ」に使われる有機ELの開発です。タブレットやスマホに使われる「小さな画面」の有機ELは、これからもJDIが開発するし、将来は製造も視野に入れるわけです。だからこれは、ソニー、パナソニック、JDIの3社による事業統合でもあるわけです。

 つまりこのニュースは、こんな見出しの記事にもできるわけですね。
「有機ELで事業統合、スマホ向けに特化して開発」
 どうですか。かなり印象が変わるでしょう。
 おそらく朝日新聞の記者は、さまざまな取材を通して「撤退」にこそニュース価値があると判断したのでしょう。一方で、他紙のなかには実際に、「事業統合」に注目して記事にしているケースもありました。
 さて、どうなるのでしょうか。今後の動きに注目してください。

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