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2014年05月19日

大阪にカジノを 米不動産会社が意欲

建設・不動産・住宅

カジノに「5千億円投資」米不動産会社が意欲 (5月13日朝日新聞大阪本社版朝刊)

 来阪した米国の不動産会社「ラッシュ・ストリート・ゲーミング」のニール・ブルーム会長が12日、大阪市にカジノやホテルなどの統合型リゾート(IR)を建設する意欲を示した。投資規模は約5千億円で、大阪市の一般会計予算の約3分の1にあたる。IRは大阪府と大阪市が誘致をめざしている。

【目のつけどころ】 統合型リゾート(IR)

 耳慣れない言葉が登場します。関連する業界も幅広いし、賛否もさまざまです。自分はどう考えるのか、しっかり押さえておきましょう。思考トレーニングにもなるはずです。

 統合型リゾートという言葉は英称で「Integrated Resort(インテグレーテッド・リゾート)」といい 「IR」と略します。IRと略する言葉はほかにも多数あり、経済分野では「投資家向け広報(インベスター・リレーションズ)」がありますね。
 では、統合型リゾートとは何でしょうか。ポイントは、もちろん「統合」ということ。つまり単独のカジノとしてだけではなく、その周辺にレストランや宿泊施設、劇場などさまざまな機能がともなわれ、大きなテーマ性を持って複合化した施設群を差します。
 率直に言えば、それは「賭博(とばく)施設」となります。日本では、賭け事は刑法で禁止されていて、競馬、競輪、競艇などの公営ギャンブルは特別な法律をつくって認められています。現在ある競馬や競輪、オートレースなどの公営施設は、基本的には単独施設でしょう。統合型リゾートでは、これにほかの産業が幅広く参入して、大きな相乗効果を狙うわけです。横浜市、北海道、長崎県などでもIR誘致の動きがあります。

 最近この言葉が注目されるのは、2010年に「国際観光産業振興推進議員連盟」(IR議連)が発足し、推進法案が13年末に衆議院へ提出されたからです。このタイミングだと、東京オリンピックに間に合うことも考えられ、関心が高まっています。

 関連業界もいろいろな動きを見せています。レジャー・アミューズメント業界だけでなく、外食業界や旅行・ホテル業界などがあります。この記事のように、不動産会社の動きも活発です。
 当然、賛否があります。そこでこの機会に、カジノの問題点を整理して、自分の考えをまとめるようにしましょう。

 カジノの利点としては、例えばこうでしょう。
・周辺施設も含めて、売上げの増加や雇用拡大が期待できる
・利用者が心身をリフレッシュできる
・行政にとっては新たな税収減となる

 また、欠点としては、こうでしょうか。
・カジノに消費される分、ほかの産業は売上げが減る
・利用者のギャンブル依存症が心配される
・不法行為などが懸念され、取り締まりの負担も増える

 経済には常に、こうしたトレードオフの関係が存在します。それぞれの利点と欠点を検討して、自身の賛否について考えるようにしましょう。

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