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2013年12月04日

「かっぱ寿司」と「元気寿司」が業務提携

外食

回転ずし2社統合へ (11月30日朝日新聞朝刊)

 回転ずし業界2位の「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトホールディングス(さいたま市)と、5位の「元気寿司」(宇都宮市)は29日、経営統合を視野に入れ、業務提携を結んだと発表した。

【目のつけどころ】 成長を続ける「回転ずし」、外食と中食

 ファミレスやハンバーガー、牛丼やラーメンなど、さまざまな業態がある外食産業。その一角を占める回転ずしは、少し特別な存在です。それは、外食業界が全体として市場規模を縮小させている中で、成長をつづけている数少ない分野だからです。

 外食産業のピークは1997年でした。この年の業界全体の売り上げは29兆円で、以降はほぼ右肩下がりに減少を続けています。現在は23兆円前後にまで縮小しました。
 ところが回転ずしは、この間も売上高を伸ばしてきました。「あきんどスシロー」「カッパクリエイト」「くらコーポレーション」の大手3社の合計で見ると、99年までは500億円以下でしたが、現在は2800億円を超えています。調査会社のデータによれば、2012年は回転ずし業界全体で4800億円。これは牛丼業界やラーメン業界の市場規模を上回ります。すごいですね。

 外食産業が縮小している背景の一つは、「巣ごもり志向」などと表現されます。外出してレストランなどで食べ歩くよりも、デパートや駅ナカにある総菜店を利用したり、コンビニなどの弁当を買ったりして、家に持ち帰って食べるスタイルが広がっているのです。
 実際、こうした形態は「中食(なかしょく)」と呼ばれ、好調です。持ち帰り弁当店を展開するプレナスやオリジン弁当のオリジン東秀、デパ地下などに積極的に出店するロック・フィールドや柿安本店などは、業績は堅調です。
 こうした中食業界の強さのポイントは、やはり外食と比較をしたときの安価さ。リーマン・ショック後の景気低迷に東日本大震災が追い打ちをかけ、消費者の「節約志向」が高まる中、「手頃さ」を打ち出した中食が支持されてきたわけです。

 回転ずしも、この強さは同じでしょう。「全皿100円」や「90円」などの安さで消費者をつかみ、成長を果たしてきたわけです。
 しかし最近は、この路線も限界に近づいたとされ、伸びが鈍ってきました。そこで各社は高価格のメニューを投入するなど、新たな模索を始めています。 今回の業務提携も、こうした変化をにらんでのことでしょう。大手同士の再編は、回転ずし業界では初めてのことです。

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