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2013年11月29日

巨大アマゾン、映像配信事業参入

流通

アマゾン、映像配信参入 (11月25日朝日新聞朝刊)

 インターネット通販大手の米アマゾン社が、日本国内向けの映像配信サービスを今月中にも始めることがわかった。NHKのほかTBS、テレビ朝日など全ての在京民放キー局や、映画会社が番組や映画を提供する見通しだ。

【目のつけどころ】 アマゾンと楽天の国内売上高比較

 朝日新聞がスクープ扱いで報じたアマゾンの映像配信事業への参入。この記事の通り、翌26日には同社のウエブサイトで、
「新しい映像配信サービス、Amazonインスタント・ビデオを日本のお客様にご提供できることになりました」
 と発表されました。邦画や日本のテレビドラマから2万6000本を超す作品を提供するとのこと。トップページでの参入宣言には、意気込みの強さが感じられます。国内で映像配信サービスを展開してきた大手のGyaO(ギャオ)やTSUTAYAにとっては、強力なライバル出現となるでしょう。

 実は米国企業アマゾンの日本における「巨大さ」は、謎に満ちていました。事業規模などが長らく秘密にされてきたからです。しかし今年2月、その一端が公表され、衝撃が走りました。
 国別売上高が初めて記載された米証券取引委員会への報告書によると、日本での2012年の売上高は7300億円。ネット通販会社として、いきなりトップに躍り出たのです。それまで国内トップ企業として君臨してきた楽天の売上高は2858億円ですから、2倍以上の規模でした。
 ただし、販売方式に違いがあるため、単純な比較はできません。アマゾンは基本的に自社在庫の商品を販売しますが、楽天はほかの小売業者に販売場所を提供する「モール型」。ですから売上高ではおくれを取りますが「流通総額」では1兆4460億円に達します。

 しかし、そのアマゾンも最近は、このモール型である「マーケットプレイス」を強化しています。そして、アマゾンの流通総額はいまでも非公表ですから、もしかしたらこの流通総額で見ても楽天を超えている可能性があります。
 このように激しい競争を重ねている中での今回の新規事業参入。米国の黒船がどのように新たな市場を獲得していくのか。関心が高まります。

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