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2013年11月27日

東京海上ほか、損害保険大手3グループの中間決算

銀行・証券・保険

損保2社 黒字化 (11月20日朝日新聞朝刊)

 損害保険大手3グループが19日、2013年9月中間決算を発表した。東京海上ホールディングスが増益、残り2グループが黒字に転じた。前年より自然災害が減って保険金支払いが減り、株価上昇で保有資産の運用益が増えた。

【目のつけどころ】 合併・経営統合と力の拮抗

 企業どうしの合併や経営統合、吸収といった再編の動きは、いろいろな業界に共通して見られることですが、とりわけ損保業界はここ数年、動きが激しかったことで知られます。さまざまな合従連衡(がっしょうれんこう)を経て、現在、損害保険会社は大きく3グループに編成されました。

・MS&ADインシュアランスグループホールディングス
  =三井住友海上、あいおいニッセイ同和など
・東京海上ホールディングス
  =東京海上日動、日新など
・NKSJホールディングス
  =損保ジャパン、日本興亜など

 ここで注目したいのは、この3グループの力が拮抗している、ということでしょう。今回の記事が取り上げた9月中間決算の数字でも、それが表れています。損保会社の売上高にあたるのが「正味収入保険料」ですが、金額は次の通りです。

・MS&AD=1兆4249億円
・東京海上=1兆4150億円
・NKSJ=1兆1189億円

 これを比率に直してみると、なんと35:35:28ですから、まさに業界は「三国志」の時代。NKSJがやや遅れを取っているようにも見えますが、得意とする自動車保険の分野で見ると、さらに拮抗の度合いは高まります。損保の世界は、さまざまな損害保険料収入のうち、この自動車保険の収入が約半分を占めていますから、今後の力関係はますますわかりません。将来、業界の盟主の地位を固めるのはどのグループなのでしょうか。

 ところで、損保業界に関する知識やデータを探すには「日本損害保険協会」のホームページが便利です。そして面白いことに、同協会のホームページからは、日本の損害保険会社について「どの会社とどの会社が合併などをしてきたか」ということが一目瞭然で分かる図表形式の年表が、自由にダウンロードできます。
 業界団体が、こうした年表まで提供しているのは珍しいこと。こんなことからも、この業界の激しい動きがうかがえますね。

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