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2013年09月02日

小売店の「届ける」という情熱

流通

移動販売車、続々発進 スーパー・コンビニ進出 (8月29日朝日新聞朝刊)

 大手スーパーやコンビニエンスストアが、買い物に不便な地域をトラックでまわる「移動販売」に乗り出している。過疎化が進む地方を中心に、「買い物弱者」と呼ばれる高齢者らが増えているからだ。

【目のつけどころ】 震災契機にノウハウ蓄積

 未曽有の被害をもたらした2011年の東日本大震災など、大災害の経験から、ひとつの力を身につけてきた業界があります。スーパーやコンビニ業界です。
 今回の記事にあるような「買い物弱者」のための移動販売車。業界は大災害のたびに試行錯誤し、その運用のノウハウを学び、獲得していきました。

 たとえばコンビニ各社。1995年の阪神・淡路大震災や2004年の新潟県中越沖地震といった災害後、各地の自治体と「包括的連携協定」や「災害時物資供給協定」を結ぶケースが増えていました。協定内容には多少の違いはあるものの、平たくというと、
「あなたの町で商売をさせてもらっているのだから、あなたの町を助けますよ」
 という約束をしています。コンビニ大手3社の場合、それぞれが約30~40道府県と協定を結んでいます。

 東日本大震災では、宮城県と包括提携を交わしていたセブン-イレブンが、「いま何がどこに必要か」と県知事に問い合わせ、震災当日の深夜中にヘリコプターを使って、ミネラルウォーター3万本やバナナ14トンなどを提供しています。
 コンビニ各社の移動販売車も、この時から被災地に駆けつけ、大活躍しました。専用車両をどのように確保して整備し、商品を供給する態勢を構築するか。一定の場所にある通常店舗とは違ったノウハウを、コンビニ各社は逼迫した状況の中で手探りしていったのです。

 こうした苦労と努力が、今回の記事のような動きに生かされています。困難な状況にある人々の安全安心に、向き合う仕事。素晴らしいですね。

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