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2013年08月26日

無料通話アプリが新たな脅威に

通信・インターネット関連

LINE 通販に参入 (8月22日朝日新聞朝刊)

 無料通話アプリのLINE(ライン)は21日、ネット通販と音楽配信に新規参入すると発表した。世界で2億3千万人に達した利用者数を背景に、楽天やヤフーなどネット大手を追い上げる

【目のつけどころ】 リアルの店舗は生き残れるか

 スマートフォンに特化した無料通話アプリで、爆発的に普及が広がるLINE。仲間どうしで手軽にチャットが楽しめる機能が人気を呼んで、利用者は世界中で2億人を突破しました。日本でも5000万人近くが使っています。
 そのLINEが、今度は通販事業に乗り出すことを発表しました。また、音楽配信も手がけるそうです。

 さあ、これに脅威を感じているライバル企業はどこでしょうか。SNSの王者であるフェイスブック? それとも通販の雄であるアマゾン? あるいは音楽配信の世界を切り開いたアップルでしょうか?

 もちろん、どの会社も大いにライバル視していることでしょう。たとえばフェイスブックは今年から、「フェイスブックメッセンジャー」というスマホ用のアプリに、無料通話の機能を追加しはじめました。LINEへの対抗意識を強く感じます。
 しかし、LINEの「脅威」を痛感している会社や業界は、もっと他にあるのではないでしょうか。例えば、家電量販店はどうでしょうか。

 業界最大手のヤマダ電機が8日に発表した2013年4~6月期の四半期決算では、営業赤字が38億円に達しました。前年同期の営業損益は73億円の黒字でしたから、大きな転落です。
 背景にあるのが、ネット通販との価格競争とされています。ヤマダ電機は今年から、店頭価格をネット通販サイトの価格にそろえて値引きする戦略に出ています。そのぶん、利益が圧迫されているのです。

 いま消費者の間では、ネットの価格比較サイトなどを利用して、もっとも安価な商品を購入する動きが広がっていますし、また、そうした行動がとても容易になっています。家電量販店が、アマゾンや楽天といった通販サイトと「消耗戦」を展開しているのです。

 そこに新たに参入するLINE。このニュースが流れると、家電量販店の株価が軒並み下落をしたほどでした。業界再編の引き金になるかも知れません。

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