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2013年07月17日

飽食ニッポンの恥ずかしい現実

食品・飲料

食品ロス削減へ 小売業者ら実験 (7月13日朝日新聞朝刊)

 賞味期限前に返品などで捨てられる食品の無駄を減らそうと、メーカーと卸業者、小売業者の計35社が8月から半年間、流通の業界ルールを緩める実験を始める。効果があれば、来年にも業界に広げる方針だ。

【目のつけどころ】 「食べ残し」「売れ残り」の総量は

 もったいない。
 物を大切にしようという思いが込められた、この美しい日本語は、ケニア出身の環境保護活動家でノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイさんによって「世界の合い言葉」へと進化しました。
 この語に感銘を受けたマータイさんは、「MOTTAINAI」を世界共通の言葉にしようとの理想を掲げて、運動を展開。大量消費の削減やリサイクルを推進する「もったいない運動」が、世界各地で取り組まれているといいます。
 
 ところで、肝心のこの言葉の故郷ではいま、本当に「もったいない」の理念は生きているのでしょうか。今回の記事では、食品ロスを減らすためにメーカーや流通業界が新たな業界ルールを定める実験に取り組むことを伝えています。その日本の現状はいったいどうなっているのでしょうか。
 
 残念ながら、そのデータが記事にはありません。紙面の都合で削られてしまったようです。執筆した記者も、さぞや残念だったことでしょう。しかし、朝日新聞デジタルでは読むことが出来ます。
 
 それによると、日本の国内では1年間に、食品業者によって300万~400万トンが、また各家庭によって200万~400万トンが、本当は食べられるのに「売れ残り」や「食べ残し」として捨てられているそうです。つまり合計すると500万~800万トン。これが年間の食品ロスの総量なのです。
 
 さあ、これはいったい、どれくらいすさまじい量なのか。ぜひ調べて、実感をもってください。答えの一例を記しておきます。
 なんと、日本のコメの年間収穫量(約850万トン)に相当します。日本人全員が毎日、おにぎり1~2個を捨てている計算になるのです。さらに言えば、飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料援助の総量(390万トン)を遙かに上回っています。
 
 こんなことで、いいのでしょうか。やがて「もったいない」という言葉そのものが滅んでしまわないかと心配になります。今回の実験に取り組む各企業の努力にも、期待したいところです。

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