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2013年07月10日

銀行が不動産や証券の仕事をする!?

銀行・証券・保険

高齢者施設対象 REIT設定へ (7月6日朝日新聞朝刊)

 新生銀行は、有料老人ホームなど高齢者施設への投資を専門に行う不動産投資信託(REIT)をつくる検討を始めた。実現すれば国内初となる。

【目のつけどころ】 リスク分散、高齢化社会、金融ビッグバン

 REITは「リート」と読みます。不動産投資信託のことです。その名のとおり、不動産で運用する投資信託。不動産は英語で「リアルエステート」(real estate)で、投資信託は「インベストメントトラスト」(investment trust)ですから、合わせてREITですね。
 
 投資信託とは、たくさんの投資家から集めた資金を大きくまとめて、株や債権、不動産などに投資をして運用し、利益を分配する仕組みです。個人の投資家は、一人ひとりは持っている資金が少ないため、高い株や不動産を幅広く買うことができません。しかし、単一の株だけに資金を注ぎ込むなどすると、もしその会社が倒産したら大変です。そこで、リスクを分散する目的などから投資信託が利用されます。
 
 今回のニュースは、この不動産投資信託を銀行がつくるといいます。どんな不動産を購入するかによっても、いろいろなREITがあります。(ラブホテルに投資する、というタイプもあるそうです)。新生銀行はこれからの高齢化社会をにらみ、老人施設に投資をするそうです。時代を反映した商品でしょう。
 
 ところで、
「銀行が投資信託をつくるの!?」
 と、驚く人がいるかも知れません。そうです、ほんの15年ほど前まで、そんなことは不可能でした。金融機関には国からの厳しい規制があり、「銀行ができる仕事は銀行に関する業務だけ」「証券会社は証券だけ」「保険会社は保険だけ」などと垣根が決められていたからです。
 
 しかし、1990年代後半から「規制緩和」がされました。いわゆる「金融ビッグバン」です。どちらも聞いたことがある言葉でしょう。金融業界にとっては非常に大きな出来事でした。しかし米国ではこの規制緩和がリーマン・ショックなどにつながった、という見方もあります。ぜひそれらの経緯を自分で調べてみてください。

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