業界研究ニュース 略歴

2013年06月21日

「値下げ地獄」から抜け出すには

外食

マックに500円バーガー (6月18日朝日新聞朝刊)

 日本マクドナルドは17日、夏限定で新発売するハンバーガー2商品を発表した。「クォーターパウンダー BLT」は単品で520~570円(地域によって価格が違う)と、これまで発売したハンバーガーの中で最も高い。景気回復の兆しを受けて、「少しぜいたく」な路線で業績回復を図る。

【目のつけどころ】 価格競争

 このニュースを、2カ月前のこのニュースと比較して考えてみませんか。「追い込まれ吉野家値下げへ」(4月11日朝日新聞朝刊)という牛丼の話題です。
 吉野家は4月10日、「牛丼並盛」を380円から280円に値下げすると発表しました。「並盛250円」で先行していた松屋やすき家を追いかける狙いです。
 牛丼の値下げ競争は、これまでもたびたび繰り返されてきました。最近では2009年末に、すき家が280円に下げ、松屋も2012年1月に下げました。

 このような状態を、経済学では「ベルトラン競争」と呼びます。ある商品をめぐって、数社の大手企業だけで競争をしている場合、一番安い価格を示した1社がいっきに市場を独占できる可能性があるので、どこまでも値下げ競争が続いてしまうのです。
 では、この「値下げ競争地獄」から抜け出すには、どうすればいいでしょうか。これも経済学的には、答えははっきりしています。商品そのものに大きな差がないから価格競争をするしかないのが、ベルトラン競争。ですから、「ライバルに差を付けられる新商品を開発すること」が、その答えです。

 どうでしょうか。これを実行したのが、まさにマクドナルドだと思いませんか。
 ハンバーガー業界でもこれまで、牛丼と同じようなベルトラン競争が繰り返されてきました。でもマクドナルドは、そこから抜け出すと言います。「今年から方針転換し、値下げに頼らない戦略を進める」。記事はそう伝えています。

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