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2017年05月23日

コスパに回帰するチューハイ

食品・飲料

缶チューハイ「度数高め」人気 夏へ各社新商品を投入

 人口減で消費が低迷する酒類業界ですが、缶チューハイが元気です。中でも、アルコール度数が9度といった度数の高い缶チューハイの売れ行きがよく、夏に向けて各社は度数が高めの新商品を発売しています。チューハイはもともと安くて酔える度数高めの酒として労働者が好んで飲んでいました。それが缶チューハイの発売で、若者や女性に広がり、度数の低いものが増えてきました。しかし、ジュースに近づくと物足りなさを感じる人も多いようで、再び安くて酔えることが見直されてきたようです。
(2017年5月22日朝日新聞デジタル)
(写真は、アサヒビールが6月に発売する「ウィルキンソン・ハード無糖ドライ」の発表会)

若者や女性に広がる

 チューハイは焼酎ハイボールを縮めた呼び名です。1960年代ごろから居酒屋でよく飲まれるようになりました。その頃のチューハイは、ビールや日本酒より安くて酔えるのが人気で、おしゃれなイメージはまったくありませんでした。1980年代になって缶チューハイが売り出され、焼酎そのもののブームもあって飲む層が一挙に広がりました。
「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの
という俵万智さんの短歌が有名になったのはこの頃でした。その後、缶チューハイは味の種類が増え、度数は3~4%と低いものが多くなっていきました。缶のデザインも果物を強調したさわやかな感じのものが増えました。狙いは、酒を飲みつけていない若者や女性でした。

9年連続過去最高

 この路線が目立つようになると、「ジュースと間違えてこどもや酒を飲めない人が買ってしまう」という批判が出ました。また、酔いたい人にとっては、度数が低いと物足りなくなってきます。こうして最近再び度数の高いチューハイに戻ってきたのです。アサヒビールによると、缶チューハイ市場は昨年まで9年連続で過去最高を更新しています。中でも度数7%以上は2016年で前年比16%増と大きく伸びています。しかも、高度数の商品を買う人の購入本数は低度数を買う人の2倍近くに上るそうです。そこで各社は9%や8%の高度数商品に力を入れることになったのです。10パーセントを超えると税率が上がるため、10%以上の商品は見かけません。
(写真は、サッポロビールの「超男梅サワー」=同社提供)

ほかの酒はピークすぎた?

 日本では人気のある酒が時代によって移り変わっています。日本酒は1970年代前半にピークを迎え、ウイスキーは1980年代前半がピークです。ビールは1990年代前半がピークで、赤ワインは1990年代後半、焼酎は2000年代後半にピークを迎えています。そして、まだピークに向かって伸びているのがチューハイです。日本の人口は減少していますので、国内の酒の消費量は減っています。その中で伸びているジャンルがチューハイというわけです。
(写真は、サントリーホールディングスの「マイナス196℃ストロングゼロ・ビターオレンジ」=同社提供)

1杯目からチューハイ

 中年以上の人なら、居酒屋に行くとまず「とりあえずビール」と注文するのではないでしょうか。飲み始めの若い頃、「ビールは苦い」と顔をしかめながら飲んでいても、だんだんビールでスタートしなければ飲んだ気がしないようになってきます。ただ、今の若者は、1杯目からチューハイ(サワーとも呼びます)を頼むのが普通だといいます。飲食は習慣化しますので、彼ら彼女らが中年以上になってもチューハイを飲み続ける可能性は十分あります。缶チューハイは、酒業界の主戦場の一つになりつつあります。
(写真は、キリンビールの「氷結ストロング・ブラッドオレンジ」=同社提供)

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