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2017年04月07日

人気の電気自動車テスラ、陰で支えるパナソニック

自動車・輸送用機器

株価が大手フォードを抜く

 世界でも珍しい、電気自動車専門の米ベンチャー「テスラ・モーターズ(テスラ)」。ニューヨーク株式市場で、4月3日、テスラの時価総額が486億ドル(約5兆3400億円)程度に達し、自動車大手フォード・モーターの約453億ドルを抜きました。ゼネラル・モーターズ(GM)の511億ドルに迫る勢いです。その躍進には、実は日本のパナソニックが一役買っています。
(2017年4月4日朝日新聞デジタル)
(写真は、テスラが2012年に初めて量産化した「モデルS」の出荷時の様子)

電気自動車が前年比7割増の出荷

 株価を押し上げたのは、前日2日にテスラが発表した今年1~3月期の電気自動車の出荷台数です。約2万5千台で前年同期比約7割増と、四半期としては過去最大。GMやフォードの乗用車と比べると、まだ比べものにはならないほど低い台数ですが、ガソリン・カーの販売が頭打ちの中、伸び率の高さが際立ちます。テスラは2003年に創業したシリコンバレー発の新参メーカーで、電気自動車とともに自動運転自動車の開発を急いでいます。株価は市場の企業に対する評価ですが、「これから伸びるだろう」という期待も反映します。

パナの電池がテスラの新車を走らす

 テスラは今年7月に、価格を抑えた新車「モデル3」の生産を開始します(約410万円)。予約はすでに37万台以上とのこと。その電池を量産するため、テスラは日本のパナソニックと組んで米ネバダ州に電池生産工場「ギガファクトリー」を建設し、1月からリチウムイオンの電池生産を始めていました。(「パナとテスラ、米で電池量産開始 EV市場の拡大を狙う」2017年1月5日朝日新聞デジタル)
 この工場で電池の一貫生産ができるため、日本からの輸出品を組み立てるのより3割以上のコストカットになるそうです。テスラは18年中に約50万台の生産をめざしています。
(写真は、ネバダ州にあるテスラの電池生産工場の倉庫=パナソニック提供)

新分野で「もっと組みたい」パナとテスラ

 家電メーカーのイメージが強いパナソニックですが、事業の軸足を消費者向けから、企業向け製品に移しています。中でも、電気自動車向け事業に力を入れていて、この分野で19年3月期には16年同期の1.5倍、2兆円の売上高を目指しています。EV向け電池の最大のクライアントがテスラです。パナの津賀一宏社長は、米ラスベガスで家電・技術見本市(CES)が開催された1月、朝日新聞社のインタビューで、「自動運転の技術が進んだときに我々の強みが生きるだろう」と語り、「電池以外にも一緒に取り組める技術はないか、テスラ首脳からも期待されている」と明かしています。(「CES、新潮流どう対応 ソニーの平井社長・パナソニックの津賀社長に聞く」2017年1月11日朝日新聞デジタル)
 国境を越え新旧の企業同士がどう組んで、どんな事業を展開しようとしているか、グローバル時代の企業研究には欠かせない観点ですね。

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