業界研究ニュース

2017年03月28日

日テレ優勢、フジは苦戦 明暗くっきりテレビ業界地図

マスコミ・出版・印刷

視聴率が勝負の厳しい世界

 テレビは人気の高い業界です。今も昔も「クリエイティブ」「派手」「高給」といった、若者を引きつける要素が多いことは変わりありません。しかし、視聴率という唯一の物差しでしのぎを削る仕事は、実際には楽ではありません。特に視聴率の低迷が続く放送局のしんどさは、大変なものがあると思います。現在は、日本テレビが好調をキープし、かつての王者フジテレビが苦悩しています。ただ、業界内の争いが激しくなる一方で、テレビ放送そのものが現在の形であり続けるかどうか不透明になってきていることも知っておく必要があります。(写真は、東京・港区にある日本テレビ本社ビル)
(2017年3月28日朝日新聞デジタル)

NHKと民放5局が地上波の核

 全国に放送網を持つキー局と言われる民間放送局は5局あります。2016年の全日視聴率(関東)の順で表記すると、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビ、テレビ東京の5局です。これに公共放送であるNHKが加わって6局が日本の地上波放送の核になっています。大阪にある系列の放送局も、カバーしているエリアが広いため準キー局と呼ばれています。キー局の系列順に書くと、読売テレビ、朝日放送、毎日放送、関西テレビ、テレビ大阪の5局です。

3兆9000億円の業界

 日本民間放送連盟によると、2015年度のテレビ関連の総収入は3兆9000億円です。これは、地方局を含めた民間放送193社、NHK、ケーブルテレビ会社291社、衛星放送会社47社の収入をすべて合わせた金額です。働いている人の数は2万5787人となっています。収入や従業員数をみると、それなりに大きな業界といえます。

日テレが浮かびフジが沈む

 テレビ業界は結構浮き沈みの大きい業界です。視聴率がよければ会社の業績がよくなり、悪ければ悪くなるという割と単純な構造のためです。視聴率の推移を見ますと、1980年代前半までは、TBSや日本テレビが強かったのですが、80年代半ばからフジテレビがヒット番組を連発してトップに躍り出ました。90年代半ば以降、日本テレビと接戦となりましたが、それでも2010年くらいまではフジテレビが業界をリードしていました。
 しかし、東日本大震災のあった2011年あたりからフジテレビの視聴率ははっきりと落ちはじめ、テレビ朝日に抜かれ、TBSにも抜かれ、とうとう4位に落ちてしまいました。一方、日本テレビは、ますます好調になり、今はトップを独走しています。視聴率がいいと広告料が高くなって収入が増え経営もよくなるので、番組制作にお金をかけることができますし、社員の給料もよくなります。逆に視聴率の低迷が続くと、番組制作にかけるお金は減りますし、社員の給料も悪くなります。好循環と悪循環でさらに勢いに差がつくことになりがちです。(写真は、東京・港区にあるフジテレビ本社ビル)

魅力的なコンテンツは必要

 テレビ業界に関心を持っている人は、業界内の争いとともにテレビの将来も考える必要があります。テレビを見る人は少しずつですが減っています。NHK放送文化研究所が5年ごとに行っている調査では、2015年の調査で初めて日本人のテレビの視聴時間がそれまでの調査に比べて短くなりました。中でも若い層のテレビ離れが目立ち、20代では16%、30代では13%の人が「まったく見ない」と答えました。こうしたテレビ離れの理由は、スマートフォンなどの携帯端末でネットを利用している時間が増えていることが大きいようです。
 また、録画機能の進歩で、録画して後で見るという人が増えています。民放の収入源であるCMを飛ばしている人が多いとみられています。ネット視聴やCM飛ばしが、民放のビジネスモデルに難題を突き付けているのは間違いありません。魅力的な番組コンテンツの需要自体は、どんな時代になってもあるはずですので、テレビ業界はそこを信じて不透明な将来に向かって進んでいる状態です

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