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2017年01月27日

LINEの利益が前年比10倍 どこで稼いでいる?

通信・インターネット関連

前年の赤字から一気に黒字に

 みなさんの多くが毎日のように使うSNSといえば、やはりLINE(写真)でしょうか。LINE株式会社が、2016年12月決算で前年の赤字から黒字に転換したそうです。純損益が75億円の黒字(前年75億円の赤字)、売上高147億円(前年比15.9%増)、純利益は前年の10倍の198億円だそうです。そういえばLINEのメッセージって無料ですよね。では、会社側はどうやって稼いでいるのでしょうか?「LINE、広告好調で黒字転換 営業益は前年の10倍」を読んでチェックしてみましょう。

(2017年1月25日朝日新聞デジタル)

「近い将来、広告が売り上げの5割超える」

 黒字転換に大きく貢献したのは広告でした。広告収入は、前年比50.2%増の547億円。売上高全体に占める割合は、38.2%と4割近くにのぼります。記事を無料配信するLINEニュースの広告掲載が2016年6月から始まったことが大きかったようです。広告以外の主な収入源は、ざっくりいってゲーム中心のコンテンツ部門が3割、メッセージの中で使うスタンプの販売が中心のコミュニケーション部門が2割になります。LINE側は、「近い将来、広告の売り上げが全体の中で5割を超える」と見ています。

民放は広告依存度が高く、新聞は「販売と広告が両輪」

 他のメディア業界を見てみましょう。たとえば、日本テレビのホールディングスの2016年3月期のアニュアルレポートによれば、売り上げ4147億円のうち66.4%を地上波の広告収入が占め、その次に多いコンテンツ販売収入は14%です。民放テレビ局が広告収入に大きく依存していることがわかります。
また、新聞協会の調査によれば、部数が約80万部以上の新聞社の収入構成は、2014年の集計で販売58.3%、広告20.8%になっています。新聞業界では長く「販売と広告は収入の両輪」と言われてきました。
 媒体によって何によって稼ぐか、バランスの違いがあるのですね。

LINEメッセージには広告が載せられない?

 LINEは2016年12月時点で月1回以上使う人が国内6600万人、全世界で2億1700万人にのぼりました。ところが最もよく使われる「メッセージ」機能には広告掲載はありません。「使い勝手が悪くなり、利用者離れが起きないように配慮している」のだそうです。ここに稼ぐ仕組みが作れれば、大きな収入が得られるのでしょうが……。当面は、利用者が生中継で動画配信できる「LINEライブ」などにも順次広告を掲載していくようです。
 LINEはいまやみなさんにとっては、「空気や水」のような存在、ライフラインのようなものになっていることでしょう。しかし、それを運営しているのは、一私企業です。企業がどうやって儲けているのか、考えてみるのも業界研究です。消費者の視点だけでなく、会社の視点で仕組みを知ることも必要ですね。

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