業界研究ニュース

2016年12月16日

漢方薬が伸びている最大手ツムラ、悩みは何だ?

医薬品・医療機器・医療機関

ツムラ、熊本に薬草の新生産拠点 漢方医学普及で需要増

 医療用漢方薬で国内トップ、シェア8割のツムラは、15年間で販売量が3倍に増えています。そのツムラが、熊本県あさぎり町を漢方薬の原料になる薬草の新しい生産拠点にするそうです。全国で6番目の拠点で、中国・九州地方では初。来年11月から本格操業の予定ですが、国産の生薬が求められる、ある事情があります。
(2016年12月14日朝日新聞デジタル)

(写真は、薬草加工施設の起工式で鎌入れをする熊本県あさぎり町の愛甲一典町長=右=と、出席したツムラの加藤照和社長=前列左から3番目=です)

「家の近くの畑で年金プラスの収入」

 あさぎり町が力を入れているのが、セリ科の「ミシマサイコ」という薬草です。漢字で書くと三島柴胡。江戸時代は静岡の三島が柴胡の集散地でした。乾燥させた根が生薬として使われ、解熱、解毒、鎮痛、消炎の作用があります。あさぎり町の町長は、「家の近くの畑で年金プラスの収入」をうたい農家に栽培を呼び掛けています。栽培の機械はツムラが貸してくれ、一定価格で全量を買い取ってくれるそうです。

中国に頼っていた漢方原料

 実は日本の生薬の原料は中国への依存度が高く、価格も値上がりしているのです。朝日新聞宮城全県版(10月19日)の「薬用植物 進む国産化/使用量1位の中国産 値上がり背景」が、そのあたりの事情をよくまとめていました。日本漢方生薬製剤協会の調べでは、2012年度の国内生薬の使用量2万5000トン余りのうち中国産が8割を占め、日本産は1割しかありませんでした。しかも中国から直接輸入される上位30種の生薬は14年で06年の2.44倍に跳ね上がっています。中国内での人件費上昇や需要拡大の影響とみられます。

龍角散も秋田産生薬に切り替え

 漢方薬は多種類の生薬をブレンドして作るので、一つでも欠けると、その薬が調合できません。化学合成でできる西洋薬とは、そこが違います。しかも、自然の作物なので、作柄は天候に左右されてしまいます。生薬原料の国産化と安定供給は、漢方薬メーカーにとって、至上命題だったのです。さきほどの宮城全県版では、龍角散が自社のヒット商品「のどすっきり飴」の香りづけに使うカミツレを、16年3月からエジプト産だったのをすべて秋田県産に切り替えたそうです。テレビCMでも秋田県産をアピールし、のどあめのシェア1位になったのだとか。

(写真は、今年5月に秋田県の農園で行われたカミツレの収穫説明会の様子です=秋田県八蜂町提供)

脱中国依存はレアメタルと同じ

 スマホや液晶テレビ、自動車などの部品に使われる希少金属レアメタルの供給も中国に依存していました。2010年に中国が輸出規制したため、産業界が混乱したことがありましたが、代替金属の技術開発やリサイクルなどが進み、中国からの輸入を減らすことができました。漢方薬は国産化というアプローチで解決を図っているのですね。業界ごとの課題と、創意工夫を新聞記事の中から見つけてください。

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