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2016年11月09日

食品・外食にデフレの兆し

外食

ミスド10~30円値下げ 100円セール廃止/改装で巻き返し狙う

 ドーナツチェーン「ミスタードーナツ」を展開するダスキンは、定番商品のドーナツを10~30円値下げします。ドーナツ業界は、コンビニエンスストアの参入などで競争が激しくなっています。また円高などで原料の小麦が安くなっています。ただ、値下げはドーナツ業界だけでなく、食品・外食業界全体に広がり始めています。消費者の節約志向が強まっているためです。日本経済は再びデフレになろうとしているようです。
(2016年11月8日朝日新聞デジタル)

(写真は、値下げされるミスドのドーナツです)

売り上げが10パーセント以上落ちた

 ミスドが値下げするのは「オールドファッション」など35種で、税抜き1個110~150円だったものを100~130円にします。ミスドの国内売上高は、競争が激しくなっている影響で落ちていて、2016年3月期は前年比10.3%減の915億円でした。
 一方で、日清製粉は業務用小麦を7月に値下げし、2017年1月からも再度値下げすると発表しています。円高によって輸入価格が下がっているためで、原料が安くなったことも値下げの後押しになっています。

西友もマックも吉野家も

 食品・外食業界は値下げに向かっています。スーパー大手の西友はプライベートブランドの商品100品目を順次値下げしています。ダイエーも9月に値下げ対象商品を330品目に拡大しました。
 外食の日本マクドナルドは、これまでのセットより安い平日昼間限定セットを9月から始めました。立ち食いステーキ店の「いきなり!ステーキ」は10月から値下げ。吉野家は今春、牛丼より50円安い豚丼を4年4カ月ぶりに復活させました。ほかにもメニューの値下げを実施した外食店はたくさんあります。

(写真は、吉野家による豚丼復活PRの様子です)

「デフレの勝者」を目指すのか

 こうした値下げの動きは、消費者の節約志向が強まっていることへの対応です。9月の家計調査によると、2人以上の世帯が使ったお金は前年同月比13カ月連続で減少しました。9月の全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は0.5%減で、7カ月連続のマイナスでした。
 過去のデフレを振り返ると、先導役は食品・外食業界でした。1990年代後半から2000年代前半にかけて日本経済がデフレに陥ったとき、低価格路線が当たって「デフレの勝者」と言われたのが、吉野家やマクドナルドでした。今、食品・外食業界は、値段を下げず踏ん張るのか、デフレの勝者を目指して値下げするのか、悩ましいところに来ています。

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