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2016年10月18日

セブン-イレブンが全都道府県制覇へ

流通

セブン、ようやく沖縄出店 唯一の空白県、18年にも

 コンビニエンスストア最大手のセブン-イレブン・ジャパンが2018年にも沖縄県に出店する方針を固めました。ローソンやファミリーマートはすでに全都道府県にあります。セブンは都道府県ごとに慎重に計画を練り、出店すれば一挙にたくさんの店を展開するやり方をとってきました。このため、ライバルに比べて全国制覇は遅れましたが、これですべての都道府県で3強が激しく戦うことになります。

(2016年10月15日朝日新聞デジタル)

コンビニは地域によって強弱あり

 コンビニの店舗展開には、地域性があります。店舗数で言えば、セブンは関東が多く、ローソンは関西や四国が多くなっています。この2強以外では、愛知、岐阜、三重の3県ではサークルKが最多です。

ファミリーマートは大阪や鹿児島で多いのですが、サークルKサンクスと合併したので、サークルKとサンクスの店はこれから順次ファミリーマートに切り替わっていきます。このため、今後中部地方でも最多になりそうです。北海道だけは、ローカルブランドのセイコーマートが最も多くなっています。

どうして地域性があるのか

 こうしたコンビニの地域性は、発足時の親会社がどの地域で主に展開していたかを反映しています。セブンは、親会社のイトーヨーカ堂が関東で強く、ローソンは、ダイエーが関西で強かったことが影響しています。サークルKは、親会社が名古屋を本拠とするスーパーのユニーだったため、今も中部地方で強いというわけです。

集約の利益を重視

 コンビニは規模の利益があるビジネスモデルですから、大手はどこも全国展開を目指してきました。その中で、最大手のセブンの戦略はやや異彩を放っていました。セブンは、規模の利益とともに集約の利益も重視したためです。

 つまり、全国にパラパラと出店すると、配送コストの上昇や地域性を加味した品ぞろえができないなどのデメリットがあります。空白県があっても焦らず、一県単位で一挙に数百店を展開できるように出店場所や経営者を確保し、総菜工場などをつくる計画をじっくり立ててきました。このため、1972年の設立以来40年以上かけて空白県をひとつずつなくしていき、昨年やっと青森と鳥取に出店し、残る沖縄への出店計画をつくる段階に来たのです。

(写真は、2015年6月、青森県に初めて出店したセブンの店舗。オープン前は行列ができました)

見えてきた成長の限界

 日本の小売り業界全体を見ると、スーパーや百貨店は成熟して縮小の時期に入っていますが、コンビニはまだ成長しています。ただ、成長は店舗数の伸びに支えられています。

 セブンの空白県がなくなることからもわかるように、店舗数はそろそろ飽和に近づき、国内では成長の限界が見えてきています。すでにそれを見越して、合従連衡が進んでいます。結局、大手はセブン、ローソン、ファミリーマートの3強に集約されてきました。コンビニは国内では生き残りをかけた激しい戦いをしながら、並行して海外進出をはかる時代に入ろうとしています。

(写真は、2015年、埼玉県川口市でオープンした「介護ローソン」。高齢者向け商品が充実し、介護相談にものる。高齢化が進む中で、コンビ二の生き残りをかけた戦略の一つです)


★「就活ニュースペーパー」では、採用担当者の本音を聞く「人事のホンネ」で、セブンーイレブン・ジャパンの特集を掲載しています。あわせてお読みください。

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