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2016年06月22日

ロゴが元で? 日産が英国のEU離脱派に法的措置?

自動車・輸送用機器

EU離脱派がロゴ無断使用、日産が法的措置へ(2016年6月21日朝日新聞デジタル)

 日産自動車は英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票をめぐり、離脱派の団体(Vote Leave =離脱に投票を)がパンフレットに同社ロゴを無断で使っているとして「使用停止を求めて法的手段を取る」との声明を出した。

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 英国のEU離脱の是非を問う国民投票は6月23日です。このパンフレットには、「雇用は危機か?」の見出しの下に、トヨタ、日産、ボックスホール(米国GMの英国法人)、GE、ユニリーバ、エアバスのロゴが掲載され、ロゴの下には「これらと、さらに多くの企業は留まる」と唱っています。本文でも「レファレンダム(国民投票)の結果いかんに関わらず大手の雇い主はこぞって残留すると言っている」と書いています。「だから離脱しても大丈夫」というわけでしょう。

 この記事によると、日産側は再三、社名やロゴの使用を止めるよう要求してきたが拒否されたといいます。法的措置は最後の手段というわけです。また、日産のカルロス・ゴーン社長は2月、「事業の観点からは残留が望ましい」との声明を出していたといいます。じつは同じくトヨタ自動車も「ロゴマークが無断で使われ、離脱派を支持しているとの誤解を招きかねないとして、無断使用に対して法的措置を検討する」との声明を出していました(「トヨタのロゴ、離脱支持派パンフに無断使用」6月10日朝日新聞夕刊)。違いはトヨタが「検討する」に対して日産は「法的措置に入る」と一歩踏み込んでいるところです。

 英国でEU離脱要求の世論が沸騰した背景には、EU加盟国からの難民流入やユーロ危機による経済混乱などがあります。英国政府が主導する残留派と、対する離脱派の間で英国世論は拮抗しました。一方、以前から日本政府も離脱が与える日本への影響の懸念を英国に伝えていました(「英国のEU残留、日本政府が促す 日本企業へ影響懸念」2013年7月22日朝日新聞朝刊)。こちらの記事によれば、日本政府は英国政府に送った文書の中で、英国で1300社以上の日本企業が13万人の雇用を創出したのは「欧州市場への入り口としての魅力があるからだ」と指摘したといいます。国民投票が迫るにつれ、株価も円も英国のEU離脱問題に敏感に反応しています。日産もトヨタも、ロゴひとつの無断使用でも放っておけない話なのです。グローバル化時代、世界情勢をウォッチすることは就活生にとって大切なことです。英国のEU離脱の影響については6月14日の今日の朝刊「英がEU離脱すると就活に影響⁉ やさしく解説」でも触れていますのでぜひ読んでください。

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