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2015年12月15日

入社したら必ず取られる「源泉徴収」って? しっかり知ろう、税の基本

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昭和15年 サラリーマンの源泉徴収開始(2015年12月12日朝日新聞夕刊)

 サラリーマンの給料から所得税を天引きする源泉徴収制度が導入されたのは、太平洋戦争が始まる前年、戦時下の1940(昭和15)年のことだ。効率よく戦費を調達するため、同盟国のナチス・ドイツにならって取り入れた。
 税率引き上げで容易に税収を増やせ、基礎控除を引き下げれば納税対象者も広げられる。1939年に188万人だった所得税納税者は、そのわずか5年後の1944年には2.4倍の456万人に急増した。

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 今回は趣向をかえまして、みなさん全員が就職後に直面する税金問題をとりあげます。キャリアプランを考えるうえでも役にたちますよ。

 社会に出て仕事をするようになると、稼いだお金の中から「所得税」を払うようになります。もちろんアルバイトでも所得税は払っていますが、おそらくはケタが違ってくるはずです。所得金額が年間330万~695万円だと所得の20%、695万~900万円だと23%も所得税としてもっていかれます。消費税が8%だ10%だと騒ぎになっていますが、言うまでもなく所得税のほうが大きいですね。

 みなさんの大半がなるであろうサラリーマン、つまり企業につとめて給料をもらう勤め人は、そのお給料から所得税分をあらかじめ引いて渡される仕組みになっています。これが「源泉徴収」です。今回の記事にあるように、源泉徴収が始まったきっかけは先の太平洋戦争で効率的に戦費を調達するため。戦争が終わってもあまりに便利なために源泉徴収の仕組みは残り、今に至っているわけです。源泉徴収でもらいすぎたり、逆に足りなかったりした金額分を1年に1度調整するのが「年末調整」。配偶者がいたり保険に入っていたり、まだ当面先のこととは思いますが住宅ローンを抱えていたりすると税金が安くなるため、年末調整をすることでいくらか税金が戻ってきます。社会人になったら絶対忘れないようにしましょう。

 ここで「所得」という言葉を考えてみましょう。所得とは、稼いだお金から「経費」を引いたものです。ものを売るには仕入れが必要ですし、店を構えれば家賃や光熱費もかかります。こういったものが「経費」で、サラリーマンではない自営業者はこの経費を1年間こつこつ積み上げ、自分で税額を計算する「確定申告」を行います。ではサラリーマンの経費とは? これは「給与所得控除」といって、スーツや靴など業務に必要な物を買うはずだから、と給与の額により自動的に決められています。360万~660万円の場合、給与所得控除額は収入の20%+54万円。年収500万円の人だと給与所得控除額は500万円×20%+54万円で154万円になり、所得は500万円-154万円で346万円。所得税はこの20%なので69万2000円となるわけです。こうやって金額を見ると、「税金はちゃんと使ってほしい!」と思いませんか。

 経費を積み上げることで税金が安くなる自営業者の方々は自然とそういった感覚を身につけられそうですが、サラリーマンの場合は税の計算も会社が勝手にやってくれていますので、どうしても日常的に税金について考える機会は少なくなります。ですが長い社会人人生を考えると、自分の稼いだお金がいったいいくら税金として取られるのか、サラリーマンとそれ以外で税金の納め方がどう違うのか、ライフステージごとに何がどう変わってくるのか、知っていると知らないとでは大きな差が出てくるものです。

 折しもアベノミクスの一環として、企業に対する法人税引き下げ方針が打ち出されています。自分のお給料はどうなるのか、法人税はどうなる……。消費税以外にも幅広く関心をもち、よりよい社会人生活のスタートを切れるようにしましょう。

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