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2015年11月24日

同時多発テロ後のいま考える、ハラール対応の大切さ

食品・飲料

ハラール対応のクリーム ソントン発売(2015年11月19日朝日新聞朝刊)

 家庭向けのジャムやクリームをつくるソントンは17日、イスラム教徒の戒律に沿ったハラール対応の「和スタイル ピーナッツクリーム」を売り出した。アルコールや豚肉由来の原料を使わず、NPO法人日本ハラール協会から認証を取得。ハラール対応商品の専用工場にした兵庫県の関連工場で生産する。

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 ハラール(ハラル)という言葉を知っていますか? イスラム教の戒律に沿ったもの、特に食事のことを指す言葉です。イスラム教ではアルコールや豚肉を摂取することは禁止されていますし、それ以外の肉も戒律に沿った調理法が必要。製造過程で禁止食材が混じってもいけないため、たとえば製造過程でアルコールが出てくるしょうゆやみそも使ってはいけません。日本ではイスラム系の団体がハラールに合致している食材や店舗を「ハラール認証」しています。ハラールについては2014年2月19日の今日の朝刊「「ハラール」って知ってる?いまイスラム16億人市場が熱い!」でも取り上げていますので、ぜひ一度読んでみてください。

 グローバル化の流れの中、ハラールへの対応はますます重要となっています。ここ最近の記事を検索してみても、鳥取大の学食にハラル認証の鶏肉を使ったカレーが登場(11月10日)、大分県の大学でハラール認証を受けたカフェテリアがオープン(11月5日)、熊本県天草市のブランド鶏がハラール認証を受け香港へ初輸出(10月31日)、三重県の百五銀行食堂でイスラム文化への理解を深めようとハラルフードを提供(10月20日)とニュースがずらり。野球の世界大会で来日したパキスタンの選手団にハラルフードが一時提供されず食事ができなかった、というニュースもありました。(10月11日)。

 イスラム圏でのビジネスチャンスを拡大するためだけではなく、急増する外国人旅行客や留学生、ビジネスパーソンを受け入れるうえでもハラール対応は欠かせなくなりました。もしイスラム教徒の同僚と食事に行くことになったらどういう店を選ぶべきか、イスラム教徒の取引先に手土産を持っていくときは何に気をつけたらいいか――ハラールへの理解を深める必要があるのは食品・外食産業だけではなさそうですね。パリの同時多発テロもあり、以前よりもイスラム教について触れたり考えたりする機会も増えていると思います。自分にひきつけて考える機会を増やすことで、今後の社会人生活にも役立つでしょう。

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