業界研究ニュース 略歴

2015年11月13日

コメ兵 過去最高の売上高 その内幕

流通

コメ兵好調、過去最高の売上高(2015年11月10日朝日新聞名古屋本社朝刊)

 中古品大手のコメ兵の2015年9月中間決算は、売上高が年間同期比7.4%増の209億円で、上半期としては過去最高を記録した。訪日外国人向けの免税品売り上げが同26.6%伸びた。純利益は同17.3%の6億円。免税品の売上高は全体の15%を占める。また、米通販サイト「イーベイ」で米ドル建ての販売を始め、ネット経由の売上高も、同7.0%増の29億円だった。

目のつけどころはこちら

 中古品販売を最近は英語でリユースと呼ぶ言い方も広まってきました。コメ兵は、この業界で3本の指に入るくらいの大手チェーン。本店は名古屋市の大須。若者が集まり、「名古屋の秋葉原」とも「オタクの聖地」とも呼ばれる場所です。コメ兵はこの地で戦後間もない1947(昭和22)年、小さな古着店として出発。社名はもともとの家業である米屋の屋号に由来するそうです。名古屋では「いらないものはコメヒョーに持って行こう」のCMキャッチフレーズで知られていますが、全国展開も進めていまや年間売上約431億円(2015年3月期)。その歩みはリユース業界のサクセスストーリーでもあります。

 リユース業大手19社が加盟する日本リユース業協会の統計によれば、2014年度の加盟社売上は3665億円で前年度比5.2%増。書籍を除くと8.4%の増になります。これに対して日本百貨店協会の2014年の加盟226店の売上高は6兆2124億円で0.3%増。市場規模はまだケタが違いますが、伸び率ではリユース業界の方がはるかに上回っています。

 それにしても、外国人がリユース店にわんさか来店しているというのには、改めて驚かされます。コメ兵の石原卓児社長はべつのインタビュー記事で「特別な宣伝はしていないが、中国のSNSでコメ兵のことが書かれ、口コミで評判が広がっているという。我々が扱うのは中古品なので、商品の程度や価値を伝えるのも大切。中国語を話すスタッフが約40人おり、母国語で本音を交えて接客することで、中古でも『安心感』を伝えられていると思う」と語っています(朝日新聞 東海経済面 2015年5月31日朝刊)。

 SNSの情報で来店した中国人を中国語で接客する。この「おもてなし」がウケているのではないでしょうか。評判は評判を生みますからね。コメ兵は、世界最大級の通販サイト「イーベイ」のほかにも、アマゾンや楽天などでもネットショップを開設するなどネット空間とリアル店舗をうまく融合させてビジネスを拡大しています。いま、「不要なものはリユース市場で換金し、リユースの商品を抵抗なく購買する層」がグローバルに増えています。名古屋発で世界発信するコメ兵ならではのビジネス。ローカルとグローバルの複眼で世の中を見る視点が大切です。

アーカイブ

業界別

月別