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2015年10月20日

シャープ「日本代表」入り? 液晶の動きに注目

精密機器・電子機器

シャープ提携「拒む理由ない」(2015年10月20日朝刊)

 スマートフォンなどにつかわれる中小型液晶パネル大手のジャパンディスプレイ(JDI)の本間充会長兼最高経営責任者(CEO)は朝日新聞の取材に応じ、不振が続くシャープの液晶部門との提携について、「拒む理由は一つもない」と話し、前向きに検討する姿勢を示した。
 シャープの液晶部門をめぐっては、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業や、JDIの大株主である官民ファンドの産業革新機構が出資する案が浮上している。革新機構が出資した場合、JDIとの統合が検討されるとみられる。

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 今年、かつてない盛り上がりを見せている日本ラグビー。火をつけたのはもちろんW杯で強豪・南アフリカを破るなど大活躍した日本代表です。野球しかりサッカーしかり、日本代表の活躍はジャンルの人気、知名度向上にダイレクトにつながります。

 産業界でも「日本代表」を作ろうということで2012年に誕生したのが、記事中に出てくるジャパンディスプレイ(JDI)。日立製作所、ソニー、東芝という日本を代表する電機メーカーの液晶事業を統合し、政府が9割以上の資本を出しているファンド「産業革新機構」が出資しています。国内競争で疲弊し韓国や中国企業にシェアを奪われたデジタル家電などの二の舞にならないよう競争力を集約し、スマートフォンやタブレット向けの中小型液晶に特化して世界トップシェアを確保。2014年には東証上場も果たしました。

 この「日本代表」に参加しなかったのがシャープです。売上の3分の1を液晶が占め、代表参加を見送って独自路線を堅持。JDIと同じく中小型液晶に注力し、アップルのほか中国メーカーにも積極的に販路をひろげていきました。

 ところが、年々成長を続ける中国メーカーは交渉力を強め、シャープとJDIは値引き交渉に巻き込まれていきます。結果、主力事業での競争力を失っていったシャープは2014年度に赤字へと再転落。中国経済が減速したことで2015年度決算はさらに赤字が膨らむことが予想され、虎の子の液晶事業に手をつけざるを得なくなったのです。台湾の鴻海(ほんはい)精密工業が出資するという案も出ていますが、JDIの本間充CEOはこのインタビューで「日本の液晶技術は、絶対に守らなければいけない」と日本代表としての意気込みを語り、シャープ支援への情熱を示しています。もっとも産業革新機構主導でJDIがシャープと統合することになれば独占禁止法に問われる可能性もあり、予断は許しません。

 液晶市場はスマホやタブレットのほか、計器類や車内モニター用など自動車向けが今後伸びると予想されています。世界との戦いにオールジャパンで挑むのか、シャープが単独で昔日(せきじつ)の輝きを取り戻すのか、ぜひ今後の動きに注目してください。

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