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2015年10月16日

“&TOKYO” 仕掛け人は博報堂。東京五輪は電通が……

マスコミ・出版・印刷

東京いつも一緒 &TOKYO都がロゴ 知事「著作権問題なし」 (朝日新聞10月14日朝刊、東京地域面)

 東京五輪・パラリンピックなどに向け、東京を印象づけるためのロゴとキャッチコピー「&TOKYO」を都が発表した。個人的な情報発信のほか、商品などのビジネス利用にも無料で使える。都は「東京ブランド推進キャンペーン」を展開する。ロゴやイメージ映像、グッズのデザインは、永井一史氏をクリエイティブ・ディレクターとする広告会社の博報堂が担当。都の委託費は1億3000万円。舛添要一都知事は定例会見で「&マークとかは記号で著作権の対象にならない。商標も登録し問題ない」などと説明した。

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 「&TOKYO」のロゴについてもネット上では早くも「類似のデザインがある」などといわれだし、それが記事にある舛添知事の説明につながっています。さらに、この記事では博報堂への委託費1億3000万円も「高額」「ムダ使い」との批判の声があがっていると指摘しています。ロゴといえば、2020年東京五輪の公式エンブレムが白紙撤回されたのは記憶に新しいところですね(現在、再公募中)。「エンブレム担当 2人退任を発表」。こんな記事が朝日新聞2015年10月3日朝刊に出ていました。この2人とは広告会社最大手の電通の社員で、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会に出向し、エンブレムの制作や審査委員をつとめていました。じつは電通は東京五輪・パラリンピック競技大会組織委員会の専任代理店なのです。

 それだけではありません。少しまえに「IOC(国際オリンピック委員会)は、2018年平昌冬季五輪から2024年夏季五輪まで4大会のアジア22カ国・地域における放映権を、大手広告会社の電通が獲得したと発表した。テレビ、ラジオ、インターネットなどが対象。電通は2014、2016年の同様の権利をすでに取得していた」(朝日新聞2015年7月30日朝刊)という記事がありました。この4大会についてNHKと民放は1100億円の放送権料をIOC側に支払うことになっていますが、こうしたアジア各国の放送権料の取り引きを広告代理店の電通が仲立ちするわけです。巨額と思われる電通の契約手数料等は公表されていませんが……。

 2年前、来日したIOCのトーマス・バッハ会長が来日した折、都内のレセプションでスポンサーとして期待される約200人の財界人をまえに「五輪マークと関係を持つことで、何億、何十億の人に認知される。20年東京五輪は絶好の機会だ」とセールストークしています(朝日新聞2013年11月22日朝刊)。かつて<アマチュアスポーツの祭典>といわれた近代オリンピックも、いまや大手広告代理店はビッグビジネスにしているのですね。逆にいえば、広告代理店が現代のオリンピックを陰で支えているともいえます。エンブレム騒動や新国立競技場建設と、新聞やテレビ、ネットをにぎわす東京五輪。ビジネスとしてはどうなのか、冷静な眼で見つめることも大事でしょう。

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