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2015年08月19日

ハウステンボス、業績急回復の秘密とは

旅行・ホテル

打って出る準備は整った 新生ハウステンボス再建の歩み(2015年8月19日朝刊)

 風車や欧風の街並みを売りにしていた、長崎県佐世保市のハウステンボスが、話題を呼ぶ企画を次々に打ち出している。旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)が5年前に再建に乗り出してから、業績は急回復。地方でも、入場者を増やし続ける「強さ」とは。

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 2014年の日本のテーマパークと遊園地の市場規模は前年から6.2%増の6000億円超と過去最高でした。ただ記事でも指摘しているようにテーマパーク市場は東京ディズニーリゾート(千葉県浦安市)とユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の二強寡占状態が進み、その他のテーマパークは続々と閉園しています。

 グローバル化の波の中で、どの市場でも寡占化の流れが止められません。世界と戦うためには資本を集中して効率化と競争力を身につけるしかないからです。そんな中で中小規模の会社が戦うためにはどこか一点でもほかにはない強みやユニークさを身につけるしかありません。ハウステンボスではリピーターをつかむべく大人気の韓流アーティスト・東方神起を担ぎ出したり、冬期間に閉園時間を延長して長時間イルミネーションを楽しめるようにしたり、1日では回りきれないほどのイベントを立て続けに仕掛けることで観光客の心をつかんでいきました。社長として再建を手がけるエイチ・アイ・エスの澤田秀雄会長は今年5月の週刊朝日のインタビューで「世界から何百万という人が集まる『ティラノサウルス』級のイベントを見つけてきなさいと社員に言っています」と語っています。

 仕掛けを「強み」に高めるためにハウステンボスが取り組んでいるのが客からのアンケートの徹底活用です。イベント後には必ず5段階評価でアンケートをとり、平均3.5点以下なら即撤退。失敗の原因は徹底的に追及するかわり、新たな挑戦を恐れないと澤田氏は言います。ユーザー目線を徹底し判断のスピードをあげることで自分たちの「強み」を作っていったのです。社会人になると、頭ではわかっていても日々の仕事に忙殺され、「ユーザー目線」を忘れがちになってしまいます。旅行・ホテル業界を目指す人はもちろんそれ以外の人も、ハウステンボスの事例を心に置いてユーザー目線を日々の仕事に取り込む方策について常に考えてください。就活でもきっと役に立ちます。 

 また、これから皆さんは業界大手のガリバー企業ではなく、大手に挑む中小規模の企業に進むかもしれません。大きな会社に入ったとしても、人や予算といったリソースを割かれていない部署に配属されることもあるでしょう。そんなときにもこのハウステンボスの挑戦を思い出して下さい。自分たちが戦える分野を見つけ、取り組みを徹底して「強み」にしていくのです。

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