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2015年04月07日

ペット市場は拡大中、でも負の部分にも注目して

化粧品・生活用品

野良猫撃退スプレー発売 フマキラー (4月1日朝日新聞朝刊)

 フマキラーは、野良猫などを追い払うセンサー式スプレー「猫まわれ右 びっくりスプレー」を発売した。猫が通ると感知して、赤外線センサーが反応。スプレーのガスと音で、猫が逃げる。

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 日本のペット市場は年々拡大しています。民間調査会社・矢野経済研究所の調査では、ペットフードやペット用品メーカーなどのペット関連総市場規模は2014年度(見込み)で1兆4412億円と前年比0.9%増。過去5年間、毎年1%前後の成長を続けています。

 市場を牽引しているのは、ペット保険や動物病院などのサービス関連産業です。実は人間同様、犬や猫も高齢化が進んでいます。ペットフード協会の調べでは2013年度のペットの平均寿命は犬が14.2歳、猫が15.0歳で年々長寿化。この市場に目をつけ、イオングループの「イオンペット」(千葉県市川市)は2014年、イオンモール幕張新都心に犬用の介護ケア施設をオープンしました。24時間獣医師やスタッフが常駐して高齢犬の体調管理を行っています。ジュレ状にして食べやすくしたりカロリーを控えめにして不足しがちな栄養分を補ったりなど、高齢ペット専用のペットフード開発も進んでいます。

 矢野経済研究所は「ペット用おむつ」の需要拡大に注目しています。これまでは高齢ペットの介護用や幼齢期用のものという位置づけでしたが、室内や外出時のマナーの観点からおむつの需要が高まっており、認知度が高まればさらに市場が広がりそうです。ペットフードやベッドシートなどのトイレタリー商品を手がけるユニ・チャーム、ペットトイレなどを展開するアイリスオーヤマなど、ペット業界に強い生活用品メーカーもたくさんあります。これを機会に一度、業界図鑑などで整理してみるといいでしょう。

 一方で、忘れてはいけないのは捨てられた犬、猫たちの存在です。病院に介護に至れりつくせりのペットたちがいる一方で、今回取り上げた記事の商品のようなグッズで追い払われる野良猫、野良犬も存在しています。京都市では7月から、野良猫にエサをあげる行為を罰則つきで禁止します。

 3月24日の朝日新聞朝刊では、ペットショップや繁殖業者から売れ残った犬を引き取る「犬の引き取り屋」という商売が生まれているという記事が掲載されています。ある「引き取り屋」を視察した獣医師は、「換気できる窓もなく、適正に飼われているとはとてもいえない状況だった」と指摘しています。2014年には栃木や佐賀で犬の死体が大量に見つかり、「引き取り屋」が逮捕されたケースもあります。ペット市場の広がりの裏に、このようなひどい環境に置かれている犬や猫がいることも決して忘れないでください。

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