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2015年02月13日

ファミレス好調の原因は「全方位への目配り」

外食

朝メニュー60歳以上はいつでも (2月10日朝日新聞西部本社朝刊)

 ファミリーレストランのジョイフルは2月12日から、朝方に出しているモーニングメニューを60歳以上の高齢者には全時間帯で提供する。モーニングは比較的安価で量も少なめで、高齢者の需要が多いと判断した。

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 長く続いたデフレ不況での「勝ち組」として、好調な業績を続けてきたのがファミリーレストラン業界です。しかし、単純な安価さの追求だけではなく、消費者のニーズをつかむさまざまな工夫を続けてきたのが業界の特徴です。その健闘ぶりを見てみましょう。

 今回の記事が注目しているのは、「高齢者向け」という新しいニーズをつかむ動きです。ファミレスのジョイフルは、客層の中心は20代の若者。しかしモーニングの和食は50代以上に好評だったそうです。
 そこで、これまでは午前10時までだったモーニングの提供時間を広げて、新たな客層として高齢者の心をとらえようとしています。
 では、これ以外の動きも見てみましょう

 代表的なのが「カフェ」ですね。いま、スターバックスなどのコーヒー専門店や、コンビニやファストフードのお手ごろ価格のコーヒーが人気です。ファミレスもこの動きを探り、カフェの出店を進めています。
 「ロイヤルホスト」「てんや」などを運営するロイヤルでは7年前に首都圏で始めたカフェをその後も拡大し、今年は九州に初出店しました。「ガスト」などを運営するファミレス最大手のすかいらーくも、これからカフェを始めると報じられています。

 あるいは「ちょい飲み」。気軽に楽しめるワインやビールなどのメニューが充実しています。これまではサイゼリヤが力を入れてきましたが、昨年末からはガストも期間限定で99円のワイングラスを始めました。
 また、反対に「高級志向」もあります。昨年のファミレス界で最大級のヒット商品となったのが、デニーズの「アンガスサーロインのローストビーフ」でした。1995円もしますが、想定の2倍以上の売れ行きだったといいます。

 こうした工夫を凝らして、ファミレスの業績はおおむね好調。たとえばロイヤルの決算は驚異的です。最近4年間の経常利益の伸びを見てください。
 2億3900万円 → 7億4500万円 → 13億4600万円 → 15億2600万円
 若者も高齢者も、お手ごろ価格も高級志向も、家族連れも飲酒客も……。あらゆる方向へ目を配り、ヒットを生み出しているようです。

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