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2015年01月14日

キーワードは「プチ高級志向」 拡大する中食産業

外食

タニタ監修弁当1月13日から (1月8日朝日新聞朝刊)

 弁当チェーン「ほっともっと」のプレナスは13日から、健康機器メーカーのタニタと共同開発した「タニタ監修弁当」を都内の187店で売り出す。十六穀米と野菜炒めの組み合わせで、塩分を少なめにするなどして1食当たり500kcal以下にした。

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 少子化や不況の逆風を受け、外食産業は厳しい状況が続いています。日本フードサービス協会などの統計によると、業界の最盛期はもう20年近く昔のこと。現在の市場は約23兆9000億円で、ピークだった1997年と比べて2割近くも減りました。

 とりわけ厳しいのが、牛丼やハンバーガーなどのファストフードです。「すき家」を展開するゼンショーや業界の雄であるマクドナルドをめぐっては、最近暗いニュースも相次いでいます。

 こうしたなか、ゆるやかながらも着実に成長を続けているのが、持ち帰り弁当や総菜などの「中食業界」です。家庭料理と外食の「中間」に位置するから「なかしょく」と呼ぶのですが、現在の市場規模は8兆7000億円。業界団体の日本総菜協会のまとめでは、外食産業とは対照的にこの10年間で市場は2割増となりました。

 好調の理由のひとつは、消費者の心をつかむ「プチ高級志向」でしょう。ファストフードや回転寿司、コンビニなどの外食に対抗して値段は少し高めに設定しつつ、手作りの高品質さを打ち出して成功しているようです。

 今回の記事に出ているのも、まさにそんな強み。健康を第一に考えたいという買い手の願いを、見事にすくい上げています。

 プレナスは業界最大手で、年間の売上高は1500億円超。持ち帰り弁当のライバルとしては、「ほっかほっか亭」を展開する関西地盤のハークスレイや、首都圏などで強い「オリジン弁当」のオリジン東秀などがあります。また、デパ地下を主力とする「柿安ダイニング」の柿安本店や「RF1」のロックフィールドも、手強い競争相手です。

 最近はワタミなどの大手居酒屋チェーンも宅配食事業に乗り出すなど、さらに新しい展開が見られます。激化する競争を制するのはどこか。注目ですね。

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