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2014年12月24日

クリスマスでバター増産要請、一体なぜ足りないの?

食品・飲料

Xマス向け「バター増産を」 (11月29日朝日新聞朝刊)

 生乳(せいにゅう)不足でバターの品薄が続いている問題で、農林水産省は11月28日、大手乳業メーカー4社や乳業団体に対し、クリスマスの最需要期に向けてバターを最大限供給するよう求めた。要請は6年ぶり。

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 今冬、バター不足が話題になっています。雪印メグミルクや明治、森永乳業などの乳業大手に対し、国は供給を拡大するように要請しました。

 この話題をめぐってはしばしば、
「酪農家が減り、高齢化も進んでいるため」
 という説明がなされます。ですが、それは本当にバター不足の原因になるでしょうか。なにか、論点がはぐらかされている感じがしませんか?

 そもそも酪農家が減ること自体は、必ずしも悪いことではありません。たとえば、やめた酪農家の乳牛を別の酪農家が買い取る集約が進んだとします。その分経営が効率化し1軒あたりの飼育数が伸びているならば、価格も手ごろになって消費者は助かるはずです。

 また、ほかのどんな商品でも同じですが、ものやサービスの数や値段は、売り手と買い手のバランスで決まります。買い手が「欲しい」というものが不足すれば、売り手は喜んで「もっと売れる」とがんばりますし、さらには「売ろうとする人」「つくろうとする人」も増えるはずです。増産できなければ値段が上がり、買い手が減る。そうやって、需要と供給はバランスするのです。

 ところが、もしバターという商品で、そうした自然な関係が成り立っていないとしたら、どうでしょうか。その理由こそ知りたくなりませんか。

 はい、その答えが、この記事にあります。しっかりと読んで、理解しましょう。答えの一つは関税でした。

 農産品は自然が相手ですから、天候などの条件によってある程度の豊作や不作があるのは仕方ないはず。もしどこかで何かが不足すれば、ほかの場所やほかの商品をさがすべきでしょう。ところがバターは、国が酪農家を保護するため、海外からの輸入品には高い税金をかけて、市場に入るのを妨げているのです。

 通常の乳製品は、保存がきかず鮮度がとても大切なので、海外製品との競争は有利なはずですが、バターは長期保存できるので、国はこのような特別扱いをしているようです。

 しかし、こうした保護によって、むしろ国内農家が競争力を失っているという側面もあるのではないでしょうか? このように身近な食品にも、経済全体の仕組みを考えるきっかけが潜んでいます。

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