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2014年12月19日

燃料電池車に補助金、見方をかえてみると?

自動車・輸送用機器

燃料電池車 広がる商機 (12月16日朝日新聞朝刊)

 世界初の市販の燃料電池車(FCV)、トヨタ自動車の「MIRAI(ミライ)」が12月15日、発売された。来年度以降は、ホンダや日産自動車もFCVの発売を予定している。部品メーカーや燃料の水素を扱うエネルギー会社なども、商機をつかもうと力を入れている。

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 走行中に二酸化炭素や排ガスを出さず、「究極のエコカー」などと呼ばれる燃料電池車の販売がいよいよ始まりました。トヨタのMIRAI(ミライ)。すでに1千台の受注があるそうです。

 価格は723万円で、一般的な乗用車と比べてかなり高価ですが、国が1台あたり202万円の補助金を出して、普及を促します。安倍晋三首相が7月、燃料電池車を経済成長につなげようと、この補助金制度を打ち出しました。

 以上をさらりと読んでしまう限りでは、国による環境保全や景気回復の取り組みとして、素直に理解できるかも知れません。しかし、ほんの少し視点や表現を変えてみるだけで、まったく別の理解も生まれます。

 ITジャーナリストの神田敏晶さんは、この制度を次のように表現しました。

「720万円のクルマは買えなくても520万円なら買えるという富裕層に、国が200万円もタダであげてしまうという話だ」

 どうですか。かなり印象が変わる気がしませんか。

 こうした補助金制度は、以前にもありました。たとえば家電エコポイント事業。2009年から2011年にかけて、省エネ性能の高いエアコン、冷蔵庫、地上デジタルテレビを購入すると、指定商品に交換できるエコポイントが付きました。しかし制度が終了すると売上げは落ち込み、「需要の先食いだった」という批判も出ました。また、制度によって電化製品の大型化が促され、かえって二酸化炭素の排出が増えたとの指摘もあります。

 ちょっと見方を変えてみる。大切ですね。

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