業界MAP

旅行・ホテル

業界の仕組み

海外旅行は落ち込み、国内は依然好調

ill_ryoko.gif 旅行業は海外・国内のパック旅行、乗車船券の手配など、業務の範囲によって第一種から第三種旅行業者と、旅行業者代理業者に分類される。第一種が最も業務範囲が広い。

 観光庁によると、2015年度の旅行取扱高は、円安や頻発するテロなどの影響で、海外旅行は前年度比8.4%減の2兆186億円と大幅に落ち込んだ。一方、国内旅行は、20年に開催を控える東京五輪、相次ぐ世界遺産登録などが追い風となり、4兆4435億円と同8.3%増加。中でも、外国人旅行は、同44.0%増と急伸しており、過去最高の1742億円を記録した。全体の取扱高は同3.2%増の6兆6363億円となっている。

訪日外国人は過去最多1973万人、「爆買い」続く

 日本政府観光局によると、2015年に日本を訪れた外国人は1973万人。前年の約1.5倍で過去最多を記録。中でもビザの要件が緩和された中国人は国・地域別で最も多く、前年の2倍以上の499万人にのぼった。家電製品などを「爆買い」するなど、外国人が旅行中に日本で使ったお金も71%増の3兆4771億円と過去最高だった。政府は20年の目標として、外国人旅行者数4000万人、旅行者が消費するお金を8兆円と設定、受け入れ態勢の整備を急ぐ。日銀は20年の外国人旅行者数を3300万人と試算している。

国内ホテル、宿泊数も料金も上昇

 国内のホテルや旅館への2015年の年間宿泊数は前年より6.7%多い延べ5億545万泊で過去最高を記録した。5億泊数を超えるのは07年の調査開始以来初。そのうち外国人の宿泊は前年比48.1%増の6637万泊となり、11年の3.6倍に増えた。ホテル予約サイト世界最大手のホテルズドットコムは、15年の国内ホテルの宿泊料金は前年より平均12%上がったとの調査結果を発表。主要な都市では、東京が最も高く、平均料金は1万6945円。上昇率のトップは、ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)の集客が好調な大阪で、前年比24%増の1万5157円。札幌、名古屋、京都なども伸び率が高かった。

最新トピックス

民泊、住宅地でも本格解禁へ

 空き部屋などに旅行者を有料で泊める「民泊」について政府は、訪日観光客増加に対応するため、年間営業日数に上限を設けた上で、審査が簡単な「届け出・登録制」にし、住宅地でも営業を認める方針を固めた。2016年秋以降に「民泊新法」を国会に提出する予定。すでに、東京都大田区や大阪府などで国家戦略特区の規制緩和を利用して、「民泊」を営む事業者が認定されている。現状は違法民泊も横行し、旅行業界は反発している。

「一休」がヤフーの完全子会社に

 ヤフーが、2016年2月、ホテルなどの予約サイトを運営する「一休」の株式公開買い付け(TOB)を行い、完全子会社化した。自社サイトとの連携を深めて宿泊や飲食の取扱高を増やしたい考え。一休は00年に宿泊予約を始めた老舗で、ビジネス客中心の楽天とは対照的に一流ホテルに狙いを絞った戦略を展開している。飲食店予約でも、予約実績が年間百数十万件と、グルメサイト「食べログ」の上をいく。

関西に外資系高級ホテルの開業ラッシュ

 大阪に2017年夏、西日本初進出となる高級ホテル「コンラッド大阪」が開業する。関西では京都やUSJなどを訪れる外国人客が急増しており、今秋には「フォーシーズンズホテル京都」、20年には「JWマリオットホテル奈良」の開業が控える。10年には「セントレジスホテル大阪」、13年には「インターコンチネンタルホテル大阪」、14年に「ザ・リッツ・カールトン京都」「大阪マリオット都ホテル」が開業したが、依然として、客室不足が続き、外資系ホテルでは引き続き需要の伸びを見込んでいる。

米企業もインバウンドに注目

 米旅行サイト「エクスペディア」は取り扱う日本国内のホテルを増やすため、2015年から名古屋市や福岡市など4カ所に拠点を置き営業を強化。米飲食店サイト「オープンテーブル」は日本の店を外国人向けに紹介する英語版の運用も開始した。米旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」と飲食店サイトぐるなびが提携、エクスペディアがJTBと組んで外国語で旅館を紹介するなど、「日米協業」の動きも活発化している。

採用の傾向

旅行業界の主な採用職種

 「旅行企画」「イベント企画」「プロモーション企画」「福利厚生企画」「店頭販売」「営業戦略」「教育旅行営業」「法人営業(福利厚生やイベントなどの企業への売り込み)」「提携販売」「販売促進」「地域交流ビジネス」「マーケティング」など。

ホテル業界の主な採用職種

 「インフラ開発(設備の整備企画や施設内店舗の選定・招聘)」「商品開発(ホテルで販売する商品の企画・開発)」「フロント」「ウエディングコーディネーター」「ホールスタッフ」「販売促進」「営業企画(宿泊プランやイベントなどの企画)」「法人営業(企業からの宴会・イベントなどの受注営業)」「不動産管理」など。

語学力は必須

 旅行代理店などの店舗には国家資格の「旅行業務取扱管理者」を置く必要がある。同資格は「国内旅行業務取扱管理者」と海外旅行も扱える「総合旅行業務取扱管理者」の二つがある。入社時に必須の資格ではないが、「国内」は科目数が比較的少なく、学生でも挑戦しやすい。ホテル業界には、サービスやマネジメントの実力を測る「ホテルビジネス実務検定」がある。

 両業界とも、TOEICの高得点など語学力は大きな武器になる。「人」を相手にする仕事なので、コミュニケーション能力を磨くことも必要だ。個人、法人を問わず、顧客のニーズを的確に把握し、最良の手段を提案できるコンサルティング能力も求められる。

【主要各社の大卒採用計画】
(2017年4月入社、カッコ内は2016年度実績)
JTBグループ(短大・高専・専門学校卒を含む)/ 800(730)、エイチ・アイ・エス(短大・専門学校卒含む)/ 650(688)、日本旅行/ 80(50)、西武グループ(プリンスホテル、西武HD、西武鉄道)/ 183(119)