業界MAP

ソフトウェア・情報処理

業界の仕組み

ビジネスや生活を支える5兆円産業

ill_software.gif 仕事や暮らしのあらゆる場面でITが活躍する現代、ソフトウェア・情報処理産業がなければ社会は成り立たない。IDCジャパンによると、2015年の国内ITサービス市場は5兆3849億円で、今後も成長していく見込み。会社の経理や顧客管理、工場の生産管理、銀行のATM、旅行の予約システムのほか、多くの個人情報を扱う官公庁や金融機関の巨大システム開発を担うこともある。技術が常に進化しているため、学ぶことは多種多様にわたり、業界では深刻な人手不足の状態が続いている。

SIを中心に大型開発を協業

 IT関連業界には、企業等の情報システム開発を企画から設計・開発、運用まで一貫して担うシステムインテグレータ(SI)、ソフトウェア開発、情報処理・提供などの業態がある。SIが企業や官公庁から大型案件を受注し、複数の協力会社が業務を下請けするケースが多い。下請けの会社からさらに2次、3次下請けに仕事が委託され、土木・建築工事と似たピラミッド型の業界構造になっている。最近では、安定した収益を得るために、システムの運用・保守の業務を主とする企業も増えている。

 大手SIは、日本IBM、アクセンチュアなどの国際企業、NTTデータ、大塚商会などの「独立系」、野村総合研究所、伊藤忠テクノソリューションズ、SCSKなど金融・商社の系列である「ユーザー系」、富士通、日立製作所、NECやその関連会社の「メーカー系」などに分類される。

今後も拡大するクラウドの利用

 「ソフトウェア」は、コンピューターの基本的な制御を担う基本ソフト(OS)と、会計、データベース管理、文書管理、画像処理、セキュリティーなど作業のためのアプリケーションソフトがある。OSはマイクロソフト、アップル、グーグルなどが作っており、アプリソフトを開発する会社は大手から中小まで様々。生産、販売、財務、給与など企業活動全体を管理する統合業務パッケージ(ERP)は市場規模が大きく、オラクル、SAP、大塚商会などのシステムがよく使われている。

 近年普及したのが、インターネットを経由してデータやソフトなどを提供する「クラウドコンピューティング」。企業などのユーザーがサーバーなどを保有・管理する必要がないので初期投資が少なく、様々な端末から同じデータにアクセスできる便利さもある。今後もさらにクラウド化の進展が予想されるが、従来のITサービスの仕事を奪うことにもつながりかねないため、新たなビジネスの開拓も求められている。

最新トピックス

IoTによる製造業の変革へ

 あらゆるものをネットでつないで価値を高めていくIoT(Intemnet of Things)に、ITサービスはなくてはならない。身の回りの家電製品や自動車などが蓄積したデータを活用したり、電気やガスの使用量を遠隔監視するシステムなど、様々な場面での活用が予測されている。

 特に注目を集めているのが、製造業の現場での改革。ドイツでは「インダストリー4.0」(第4次産業革命)と呼ばれ、官民を挙げて取り組んでいる。生産現場での人やモノの動きをセンサーなどで解析し、効率化を図っていくもので、産業構造の変革にもシステム開発が大きな役割を果たしていきそうだ。

ビッグデータの活用が進む

 ネット上の膨大な「ビッグデータ」を効率的に解析してビジネスに活用する動きは、ここ数年で急速に進んでいる。例えば、コンビニや通販サイトでは、顧客の年代別、時間帯別などの売れ筋を分析し、ヒット商品の開発や売り上げの改善につなげている。今後も、防災や医療など様々な分野への活用が見込まれている。

 IDCジャパンの調査では、2015年の国内ビッグデータテクノロジー/サービス市場は前年比3割増の947億円で、20年には2889億円となる見通しだ。一方で、データをマーケティングに活用する能力を持った「データサイエンティスト」が不足しており、各社は有能な人材の育成に力を入れている。

採用の傾向

主な採用職種

 「プログラマー」「システムエンジニア(SE)」「セールスエンジニア」「プロジェクトマネージャー」「ITコンサルタント」「ITスペシャリスト」「営業」「マーケティング」等。

コミュニケーション能力が重要

 システム関連の仕事は、専門技術を学ぶことはもちろんだが、顧客がシステムを活用して何を実現したいのかを理解することが大切だ。打ち合わせを通して、顧客自身が気付いていないニーズがわかることもあるし、顧客企業内で部署によって考えが違うこともあり、コミュニケーション能力が求められる。

 また、様々な業種の顧客と仕事をするため、各業種の特徴や実務の流れを理解する力も必要だ。情報工学などの卒業生が多いイメージがあるが、実際には文系出身者も多く入社、活躍している。文系の採用については企業によって方針が異なるので、よく調べておくとよい。

専門資格があれば有利

 IT関連の資格が数多くあり、取得できれば就職にも有利だ。国家試験である情報処理技術者試験は、難易度によって「ITパスポート試験」「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」、さらに高度な「I Tストラテジスト試験」「プロジェクトマネージャ試験」「データベーススペシャリスト試験」などがある。

【主要各社の大卒採用計画】
(2017年4月入社、カッコ内は2016年度実績)
日本IBMグループ(短大、高専、高校卒などを含む) / 350(407)、野村総合研究所グループ/ 300(279)、SCSK / 約200(162)、大塚商会/ 350(350)