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医薬品・医療機器・医療関連

業界の仕組み

特許切れ相次ぎ、製薬大手の収益を圧迫

ill_iyakuhin.gif 医薬品の国内生産額は、厚生労働省の薬事工業生産動態統計調査によると、2014年は6兆5898億円と、前年を4.4%下回った。全体の約9割が処方箋を必要とする「医療用医薬品」で、約1割が「一般向け医薬品(市販薬など)」。政府は13年に策定した「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を15年の閣議決定でさらに前倒しし、後発医薬品のシェアを17年度までに70%以上、20年度までに80%以上とする数値目標を設定した。収益源だった大型新薬の特許失効、後発医薬品の普及により、創薬企業の収益が圧迫される傾向が続く。

 製薬大手は1000億円規模を投資し、新たな「薬効」を作り出すが、世界での売り上げが10億ドルを超える「ブロックバスター」(ヒット薬)を開発するのは容易ではない。世界トップ10に入る内資系ブロックバスター、大塚製薬の抗精神病薬は2014年には年6000億円以上の売り上げがあったが、15年に特許切れを迎えた。一方、アステラス製薬の抗がん剤がシェアを拡大、次期ブロックバスターとして期待されている。現在、国内外の製薬会社は、アルツハイマー型認知症(エーザイ)、免疫抑制(アステラス製薬)、抗菌(大正製薬)、抗生物質(塩野義製薬)など、得意分野を中心に創薬に取り組む。

 後発薬大手の日医工、沢井製薬は2016年3月期決算でそれぞれ最高益を更新するなど順調に売り上げを伸ばしている。

外資との再編でグローバル化加速

 日本製薬工業協会によると、2014年の日本企業の医療用医薬品の売上高は、米国、スイスに次ぎ世界3位だが、シェアは8.6%にとどまり、米国、スイスや、4位以下のドイツ、英国に比べ、自国以外でのシェアが際立って低い。

 国内最大手の武田薬品工業でも売上高ではトップ10入りを果たせていない。武田薬品は2008年に米バイオ医薬品を8600億円で買収したのを皮切りに、11年、スイス製薬大手を1兆1000億円で買収、14年にはパーキンソン病薬に強いイスラエル製薬大手と提携するなど、グローバル化を加速させている。アステラス製薬は15年秋、約467億円で米ナスダック上場の製薬ベンチャーを買収すると発表、眼科領域の新薬を増やすねらいだ。テルモも16年6月、米医療機器メーカーの買収を発表している。

最新トピックス

他人のiPS細胞で網膜移植 2017年にも実施

 理化学研究所や京都大などのチームが、世界で初めて他人のiPS細胞から作った網膜の組織を患者に移植する臨床研究の計画を発表。あらかじめ品質を確認した細胞を多くの患者に使えるため、患者自身のiPS細胞を使う移植と比べて費用や時間を減らせる。計画では、国内に推計70万人いる加齢黄斑変性の患者約10人を対象に移植する。

血液製剤不正製造問題の化血研がアステラスに事業譲渡へ

 血液製剤やワクチンのメーカーである化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)が40年以上、承認とは異なる方法で製品をつくり、出荷停止されたことを受けて、製薬大手のアステラス製薬への事業譲渡を検討している。もともと当該ワクチンは帝人の子会社「帝人ファーマ」が化血研から仕入れて販売しており、出荷停止による損害賠償を求めている。影響額は少なくとも約50億円といわれる。

人材確保でも明暗

 田辺三菱製薬は社員約3500人を対象に希望退職者を募ると発表。2016年3月期の営業利益は過去最高だったが、成長が見込めないと判断した。一方、後発薬大手の沢井製薬は、人材確保のため、全国6工場で働く契約社員約700人を、正社員にすると発表。

「神薬」一般医薬品が海外や訪日客に人気

 外国人観光客による爆買いが目薬や鎮痛剤といった一般医薬品に広がっている。中でも中国のネットで紹介された「神薬」、小林製薬の「熱さまシート」や液体絆創膏の「サカムケア」、参天製薬の目薬「サンテ ボーティエ」などが人気に。久光製薬は主力の一般用湿布薬「サロンパス」が訪日客に加え、北米などでも人気を集め、同社の2016年2月期決算の売上高は15年連続で過去最高を更新した。

採用の傾向

医薬品メーカーの主な採用職種

 「 分析研究」「工業化研究」「製剤技術」「製薬技術」「製剤設計」「医薬品開発」「品質試験」「工務管理」「MR(医者及び医薬品卸向けの情報担当者・営業)」等。

医療機器メーカーの主な採用職種

 「商品研究」「評価」「商品企画」「商品開発」「臨床開発(医療機器の認可を受けるために必要な臨床試験の手配と管理)」「生産・設備技術」「金型・成形技術」「品質管理」「調達・物流」「MR(医者及び医薬品卸向けの情報担当者・営業)」「マーケティング」等。

ドラッグストアの主な採用職種

 「運営企画(仕入をサポートする職種)」「販売」「スーパーバイザー(担当地域の店舗を定期的に訪問し、店舗作りや販売をサポートする職種)」「教育トレーナー(販売員を教育する職種)」「広告販促」等。

MRという職種

 医療用医薬品の適正な使用と普及を目的とし、医薬関係者に面接の上、品質、有効性、安全性などに関する情報の提供、収集、伝達などを行う。自社医薬品の販路拡大も重要な業務。文系出身者でも就ける職種として知られるが、通常、入社後にMR認定センターが定める300時間以上の基礎教育や実務教育を受ける。

【主要各社の大卒採用計画】
(2017年4月入社、カッコ内は2016年度実績)
武田薬品工業(採用計画の学歴別人数は未定)/約90(90)、第一三共/前年並み(124)、アステラス製薬/例年並み(122)、エーザイ/未定(39)、テルモ/80(130)、日医工/ 29(33)