業界MAP

食品・飲料

業界の仕組み

円安と消費税増税で競争が激しく

ill_syokuhin.gif 日本の食品会社は食料原料のほとんどを輸入に依存する。最近までの円安傾向で調達価格が上昇し、値上げを余儀なくされた。製油業界の食用油価格引き上げで原材料に油脂比率の高いマヨネーズがまず最初に値上げされ、次いで輸入豚肉などを使うソーセージなどが続き、輸入小麦価格の上昇からパン類も軒並み上がった。さらに2014年4月の消費税8%増税で消費が落ち込んだが、消費税の影響が一巡し、値上げが売上高を押し上げるメーカーも出てきた。ハム・ソーセージ大手4社は前年に引き続き、主力商品や新製品の好調で16年3月期末期決算も軒並み増収になった。食肉はスーパーや飲食店向けが堅調だ。加工品はサンドイッチの具など好調なコンビニ向け需要に活路を見いだす。

 TPP(環太平洋経済連携協定)が日本を含む12カ国の間で2015年10月に合意した。多くの食品の関税撤廃で海外からの安い原材料が入ってきて加工食品業界には有利に働くと見られている。ただし影響が出るのは数年先だ。

国内から海外への動き加速

 少子高齢化などの影響で国内市場の伸びがほとんど見込めないことから、食品業界は高い経済成長が続き消費市場が膨張し続けるアジア、アフリカなど海外市場への進出を進める。たとえば調味料大手の味の素の海外食品が占める売上高は、ほぼ4割を占める。タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、ブラジルを「ファイブスターズ」として重点地区とし、2020年に海外食品で売上高5000億円達成を掲げる。2000年代に入り年平均5%台で成長しているアフリカも有望地域だ。日清食品HDがケニア、サンヨー食品や東洋水産がナイジェリア、味の素がコートジボワールなどに続々と進出しており、この動きはまだ続くとみられる。一方、しょう油最大手のキッコーマンは和食ブームを背景に北米・欧州での売り上げが好調だ。

最新トピックス

ビール各社、海外市場に活路

 ビール大手各社は国内市場が下げ止まらず、欧米製品のブランド力獲得や新興国への進出を狙ったM&A(企業合併・買収)の動きを活発化させる。サントリーHDは2015年12期決算で過去最高の2兆6867億円を叩き出したが、海外売り上げが16%アップした。中でも14年4月に1兆6500億円で買収した米国蒸留大手ビーム社の売上高23%増が貢献した。ビーム社は「ジムビーム」や「メーカーズマーク」など世界的に有名な商品ブランドを誇っている。サントリーの海外比率は4割に迫る。ブラジルビール大手を買収したキリンHDは15年期末期に1100億円の減損処理をしたが、同年にミャンマーのビール最大手を約700億円で買収している。アサヒグループHDは16年2月、ビール世界最大手のベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブ社との間で、イタリア、オランダなど4社の総額約3300億円の買収契約を発表した。サッポロHDも11年、他社に先駆けてベトナムに合弁会社を設立し、15年に完全子会社化している。

機能性表示食品、GIマークそれぞれスタート

 食品の健康への働きを事業者の責任で表示できる「機能性表示食品」が2015年6月始まった。従来のトクホ(特定保健用食品)は安全性や有効性について国の審査があるなど、企業の負担が大きかったが、機能性表示商品は企業の自己責任で届け出さえすれば、「丈夫な骨の維持に役立つ」「脂肪の吸収を抑える」などと機能をうたえる。すでに100社以上から300点を超える届け出があり、消費者庁のホームページで公開されている。一方、農水省が夕張メロンや神戸ビーフ、江戸崎かぼちゃなど、「地域のブランド」として公認するGI制度(地理的表示保護制度)も同年4月から始まった。名称から産地がわかり、独特の製法や統一した品質が確保できるものについて地元の業界から申請を受けた農水省が審査する。輸出や国内の販売拡大をねらう。国が不正取り締まりをし、法人には3億円以下の罰金も科せられる。GI制度は世界貿易機関(WHO)協定で認められた知的所有権に関する権利で、世界100カ国以上で導入されているという。

採用の傾向

主な採用職種

 「生産技術」「食品分析」「安全性試験」「研究開発」「マーケティング」「パッケージ開発」「購買」「品質管理」「プラント設計」「工場管理」「販売マーケティング」「営業」「広報宣伝」等。

売り場で企業研究

 日常生活の買い物でおなじみのスーパーやコンビニの売り場。いつもとはちがった目で商品棚を探索してみる手もある。食品業界は、有名企業だけでなく、中堅・中小企業でも数多くの優良企業がひしめいている。注目される新商品や、商品棚の中で幅広い面積を占有する商品のメーカーをチェックし、メモしておこう。検索して企業研究してみると、思いがけぬ出会いになる可能性もある。

製粉業界などは大手安定

 食品工業の原料を提供する製粉、製糖、油脂業界は激しい業界再編の結果、中小企業は、大手企業に比べて厳しさを増している。いずれも、食品業界では珍しい寡占状態となっており、中小企業は厳しい価格競争にさらされている一方、日清製粉グループや三井製糖、大日本明治製糖、J-オイルミルズ、日清オイリオグループなど大手は際だって安定している。

【主要各社の大卒採用計画】
(2017年4月入社、カッコ内は2016年度実績)
アサヒグループHD /未定(141)、キリン/ 80(81)、サントリーHD /未定(122)、味の素/ 60~80(64)、明治HD(短大、高専、専門学校を含む)/ 287(211)、日本たばこ産業/約140(148)、日本ハム/42(40)