業界MAP

エネルギー

業界の仕組み

家庭向け電力が自由化。原発は再稼働

ill_energy.gif 地域ごとの10電力会社による電気事業の独占が、福島第一原発事故後の電力不足を契機に見直された。2016年4月からは家庭向け電力市場が自由化され、ガス、石油小売り、通信、鉄道など数百社が参入した。市場原理が働いて価格競争が生まれ電力各社のコスト削減努力も期待できる。20年からは電力会社の送電と配電の事業が分離され、発電や小売り事業のさらなる活性化を目論む。

 一方で、政府のエネルギー基本計画案は、原発を安価で昼夜分かたず稼働できる「ベースロード電源」と位置づけ、原子力規制委員会が安全性をチェックした原発の再稼働方針を明記。口火を切って2015年8月、九州電力川内原発1号機が再稼働した。しかし、住民合意や防災、核廃棄物等の課題は多い。老朽原発の廃炉コストものしかかる。太陽光や地熱、風力など再生可能エネルギーはCO₂削減効果がある。ただし発電量が不安定なこともあって、石油や天然ガスなどと組み合わせて活用するとしている。

高まるLNG需要。増大するLNG輸入額

 ガス会社は東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの大手3社が全国の販売量の7割あまりを占め、残りのシェアを200以上の事業者で分け合う。電力会社が原発事故と電力自由化に揺れる中、火力発電用ガスの需要が高まっている。16年の家庭向け電力市場自由化では多くのガス会社が名乗りを上げた。電力会社の「オール電化」攻勢に家庭用需要を食われていたが、ガスによる家庭用燃料電池「エネファーム」の普及を推進する。ガス会社のネックは、輸入頼りの原料のLNG(液化天然ガス)である。財務省の貿易統計によると、需要増で2015年のLNG輸入額は震災前の2010年の1.5倍強の5兆5千141億円にのぼる。

海外の油田権益確保がカギの石油業界

 ガソリンや灯油などの燃料油の2014年国内需要は1億8千295万キロリットルで前年比5.5%減。09年から「2億割れ」が続く。人口減少、自動車離れに地球温暖化対策などで減少傾向にある。「下流」の町のガソリンスタンドも20年前約6万店近くあったのが、14年は約3万3500店(経産省調べ)。石油元売り大手3社の16年3月期決算は、原油安のため備蓄原油や海外権益の評価損などで全社で営業損益、純損益とも赤字だった。

 日本の石油の99%以上は輸入に頼っている。そのうち8割以上が中東から。原油価格の変動は石油業界のみならず産業界全体を揺るがす。2014年1月、国際石油開発帝石がUAE(アラブ首長国連邦)の国営企業との間で油田権益の15年延長にこぎつけた。

最新トピックス

米国の「シェールオイル革命」終わった?

 地中の頁岩層に含まれるシェールオイルの増産は「シェールオイル革命」と言われ、米国は2014年、ついにサウジアラビアを抜いて39年ぶりに世界一の産油国になったが、15年にはサウジが5億6849万トンで米国の5億6725万トンを抜き返した(英国石油大手BP調べ)。世界的な原油安でシェールオイルの収益性が悪化した。さらにサウジとイランの対立などでOPEC(石油輸出国機構)が生産調整できず、石油がだぶついた。北米のシェールオイル事業で日本の商社は大型損失を計上したり撤退したりした。

石油元売り再編加速するも紆余曲折

 経産省は石油元売り業界に供給過剰を是正するため石油処理能力の1割を減らすよう要求し、業界再編が加速した。2015年11月、業界2位の出光と5位の昭和シェルも統合の方針を発表、業界首位のJXホールディングスと3位の東燃ゼネラルも早ければ16年末までに統合する方向だ。4位のコスモ石油の行方が注目されるが、東燃との統合に出光の創業家が「社風が違う」などを理由に反対を表明、再編にはまだ紆余曲折が予想される。元売りの統合は各ブランドで石油を売ってきたガソリンスタンドにも大きく影響する。

採用の傾向

電力会社の主な採用職種

「研究」「生産技術」「技術企画」「新事業推進」「設備施工」「資材調達」「機器メンテナンス」「品質管理」「営業」「法人営業」「広報宣伝」等。

ガス会社の主な採用職種

「研究開発」「生産技術」「建設設計(ガス施設の設計)」「生産企画」「施工管理」「保安」「供給管理」「原料調達」「機器メンテナンス」「品質管理」「家庭用営業」「業務用・工業用営業」「技術営業(技術サポート)」「広報宣伝」等。

石油会社の主な採用職種

「研究開発」「資源開発(採掘設備の建設企画・施工管理)」「設計建設(精製・備蓄設備の建設企画・施工管理)」「運転管理」「保守管理」「調達」「技術営業(業務用・工業用営業)」「リテール営業(販売店への営業)」「技術営業(技術サポート)」等。

東京電力が「福島枠」

東京電力は2017年度の採用計画で、「福島復興のため継続的な雇用について最大限貢献する」として、福島県内の大学・高専・高校などから約30人の採用を目指す。

【主要各社の大卒採用計画】
(2017年4月入社、カッコ内は2016年度実績)
東京電力HD / 未定(248)、関西電力(短大、高専、専門学校、高卒を含む) / 300(256)、東京ガス/未定(159)/、大阪ガス/ 75(75)、JXエネルギー/ 110(101)