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素材

 

業界の仕組み

世界の粗鋼生産6年ぶり減。日本は「質と効率化」へ

ill_sozai.gif 世界の粗鋼生産量は2015年16億2280万トンで前年比2.8%減、6年ぶりに前年を下回った。「鉄は国家なり」と言われるほど重要だが、シェア5割を占める中国はじめ日米欧も揃って減少した。中国は景気減速によりインフラ用鋼材を中心に国内需要が減り、余った鉄を輸出に回し、世界的に供給がだぶつく。米国は中国の安い鉄に反ダンピング課税を決定、米中間で摩擦が起きている。

 日本の同年の粗鋼生産は1億515万トン(前年比5%減)だが、世界的逆風に①企業再編、②設備と労働力の集約・効率化、③高品質・付加価値製品などで対抗している。新日本製鐵と住友金属工業が合併し粗鋼生産量世界第2位の新日鉄住金が誕生(2012年)。日新製鋼と日本金属は経営統合(14年)し、日本製鋼は17年に新日鉄住金の子会社になる予定。製鉄業界は日本車の海外現地生産に呼応し、自動車向け高級鋼板で、北米や中国、東南アジアに積極的に進出する。

ガラス、ゴム、セメント・・・幅広い素材産業

 鉄以外の非鉄金属のうちアルミニウムや銅、亜鉛などはベースメタルと呼ばれる。ベースメタルに混ぜると材料の機能が高まるニッケルやクロムなど47元素をレアメタルという。レアメタルのうちハイテク産業に欠かせないネオジウムやイットリウムなどの希土類はレアアースと呼ぶ。また、プラチナのような貴金属も宝飾品だけでなく電子製品の素材となる。日本の非鉄金属メーカーは、原料のほとんどを輸入に頼る。海外のベースメタル鉱山は欧米の資源メジャーに握られてきたが、近年は日系鉱山会社や商社による鉱山開発、権益獲得も目立つ。レアアースは中国に依存する割合が高く、「中国脱却」が課題だ。

 素材産業には、ガラス、セメント、セラミックスなどの窯業、ゴム、紙・パルプなどの製紙業も含まれる。ガラスは薄型ディスプレー、太陽光パネルに加えエコガラスの需要が高く、激しい国際競争のなか、旭硝子、日本板硝子など技術力のある日本企業の健闘が目立つ。タイヤは自動車産業の動向に左右される。アフリカや東南アジアなど新興国需要が期待できる。セメントはインフラ更新や震災復興などの公共事業、2020年東京五輪があるが、国内需要は限られ、海外展開を進める。

最新トピックス

JFEスチール、メキシコに新工場

 鉄鋼国内2位のJFEスチールがメキシコで自動車用鋼鈑の工場を新設する。米国鉄鋼大手のニューコア社と共同で約300億円を投資し、専用ラインで年40万トンの自動車用鋼鈑を生産する計画。北米市場ではすでに新日鉄住金や神戸製鋼所が欧米のパートナー社と自動車向け鋼材の生産設備を米国内に整備している。北米市場に地の利のあるメキシコにも日系や欧米の自動車メーカーがつぎつぎ進出しており、鋼材の現地調達の需要が高まっている。

住友金属鉱山、海外の鉱山権益で大型売買

 住友金属鉱山が米国最大のモレンシー銅山(アリゾナ州)に持つ権益を12%から25%に増やす。費用は10億ドル。住友金属鉱山の権益分は年産4万2000トンから6万トンになる。この銅山の経営には1986年から参画していて新規参入のリスクが少なく、世界市場でのコスト競争力にも優れると判断した。一方で、同社はインドネシアのバツ・ヒジャウ銅山などに鉱区をもつ現地企業の全株式を売却した。さらに出資先のチリのシエラゴルダ鉱山に関しては689億円余の投資損失を計上した。背景には銅価格の下落がある。

セラミック、入れ歯で需要拡大

 金属や樹脂に比べ自然な色で見た目のよいセラミックス製の入れ歯がもてはやされている。このためセラミック素材のジルコニアの需要が高まっている。レアメタルの一種ジルコニウムの酸化物だ。東ソーは2017年4月末までに山口、三重両県の工場でジルコニアの生産能力を3割増しにする。クラレはジルコニアから歯科医院向けに入れ歯を作るビジネスに参画、新商品を昨年、欧米で発売した。ジルコニア製入れ歯の市場規模はまだ年160億円だが、金属製は年2千億円程度あり、乗り換え需要が期待される。

採用の傾向

主な採用職種

 「研究」「先端技術開発」「生産技術」「評価技術開発」「商品開発」「商品設計」「設備企画」「品質管 理」「設備技術」「購買」「生産管理」「営業」「セールスエンジニア」等。

理系の採用多いが、文系も機会

 素材メーカーは常に新しい技術や効率的な製造手法を追求しており、機械系、金属・材料系、電気・電子系、情報系、化学系などを中心に、理系の学生の採用に積極的だ。技術系の方が事務系より採用人数が多い傾向にある。

 しかし、事務系でも生産管理や購買、営業、財務、人事などの幅広い職種があって活躍の場は広い。 本社や支社だけでなく工場の事務部門の勤務もあり、ものづくりの最前線に接する機会もある。海外の顧客との商談、提携、M&Aなど国際性のある分野も少なくなく、企業も語学などの社内研修を充実させている。

長い勤続年数と異なるスキル、知識

 製造業は非製造業より勤続年数が長い傾向にあり、とくに素材はエネルギーに次いで平均勤続年数が長いといわれる。鉄鋼や製紙大手の中には20年を超える企業もある。素材メーカーの営業の顧客は自動車や電機など他の製品メーカーなので、営業職はBtoBで新製品開発の提案などが重要になり、BtoCのメーカーの営業と異なる知識、スキルが必要になる。

【主要各社の大卒採用計画】
(2017年4月入社、カッコ内は2016年度実績)
日本製紙/ 60(62)、ブリヂストン/ 100(100)、旭硝子/ 60~80(61)、日本ガイシ/約60(94)、新日鉄住金/ 340(347)、JFEHD / 548(641)、住友電気工業/ 180(175)