中島隆の輝く中小企業を探して 略歴

2014年04月01日

日本ではここだけ 耐性を調べる環境試験機メーカー (第13回)

縁の下の力持ち、暮らしを支える中小企業

 輝く中小企業を紹介するまえに、ひとこと。3月30日の朝日新聞朝刊の一面に、「学歴フィルター」という話が掲載されていました。大企業の採用説明会で、とある私立大の女子学生が、採用説明会への参加申し込みをしたところ、全日程で、満席、満席、とでたとのこと。別の私大の友人にきくと、満席になってないとのこと。これって、企業が大学によって差をつける「学歴フィルター」じゃないの?

 みなさんの中にも、この学歴フィルターってやつではじかれている人がいるかもしれません。
 なあに、まったく気にする必要はありません。「そんな企業、こっちからお断りだ」、の心意気でいればいいんです。きっと、そういう会社は、有名大学といわれるようなところの人があつまるだけの、つまんないところです。
 就活は、あくまでも社会人としてのスタートです。就職する時点では、そういう有名会社に就職した人のほうが幸せかもしれません。なあに、30年、40年つづく社会人生活です。そういう有名企業では、おおくの人が社内競争で脱落していき、不幸せになっていきます。いずれあなたのほうが幸せになるに決まっています。そう思って、社会人になって頑張ればいいんです。

 むかしも指定校制度といって、会社によっては、指定校以外の大学の学生は入社試験を受ける権利さえも与えられなかったことがあります。その現実に涙し、しかし、そこから別の道をあゆみ、いまや中小企業の世界ではめちゃくちゃ有名になっている社長さんを、わたしは知っています。
 一面をひらいて、2ページ目には、「ナンバーワン採用」をはじめた有名企業も紹介されていました。何かの分野でナンバーワンであればいい、というのです。ということは、ほとんどの学生は、対象外ということですね。
 まったく気にする必要はありません。そんな企業とははじめから縁がないんです。歌の文句ではありませんが、あなたはオンリーワンです。あなたの入社を待っている会社は、ごまんとあるのです。
 さて、今回ご紹介するのは、東京・新宿に本社がある「スガ試験機」という会社です。1920年に創業し、社員は270人ほど。大阪、名古屋、広島、イギリスに支店があります。
 ギラギラ照りつける太陽の光、ビュービュー吹き付ける暴風雨、ザーザー打ちつける豪雨。
 そういった自然環境を再現する装置をつくっている会社です。この装置の中で、完成品や部品がどこまで耐えられるかを調べるのです。

(写真:右にあるのが太陽の光をつくりだす試験機です。目を痛めないように、しっかりガードしています。)
 こういった自然環境をつくりだす「環境試験機」がなければ、わたしたちは、いつもびくびくしながら生きて行かなくてはならなくなります。
 たとえば、あなたは、嵐の中で、飛行機に乗っているとします。環境試験機で部品などの検査をしていなかったとしたら、どうですか? 壊れてしまうんでは、と心配になりませんか? よく、CAさんが「気流の悪いところを通過していますが、飛行機の航行には問題はありません」などとアナウンスしてくれますが、環境試験機で検査していなければ、不安になりませんか?

 太陽光、紫外線を浴びて信号機の色があせて、赤青黄の区別がつかなくなったら、どうですか? 交通は大混乱におちいるでしょう。環境試験機で、太陽光をつくりだし、信号機を検査していれば、そんな心配はなくなります。
 あなたが着ている衣服は、紫外線を浴びても変色しないだろうか。そんな身近な検査だってできます。

 心あるメーカーなら、試験機で耐久性を確かめてから、製品を世の中に出します。環境試験機の専門メーカーは、日本ではここだけ、ライバルは欧米の2社だけ。なので、販売する国は世界中です。そして、お客さんの中には、超有名企業もあります。

 この会社は、いわゆる大家族主義をとっています。社員は家族、として大事に育ててくれます。
 テレビでは今日も、超有名企業による派手なCMが流れています。でも、それを支えている縁の下の力持ちは、中小企業であることが多い。目立たないけれど、わたしたちの暮らしを支える、命を守ってくれている、って、かっこいい!