2014年09月18日

スコットランド独立投票、日本にも影響大!

テーマ:国際

ニュースのポイント

 スコットランドが英国から独立するかどうかを問う住民投票が今日おこなわれ、日本時間の明日午後には結果がわかりそうです。ユーラシア大陸の反対側にある島国の一部が分離するかどうかという話ですが、結果次第では世界の政治・経済や国際情勢に、ひいてはみなさんの就活にも影響を及ぼしかねません。報道に注目してください。

 今日取り上げるのは、総合面(2面)の「いちからわかる! スコットランドなぜ独立したいの?」です。1面に「明日はどっち?」、経済面(9面)に「英から独立『経済に影響』」、国際面(13面)に「賛否拮抗、結果見えず/スコットランドきょう住民投票」が載っています。
 記事の内容は――スコットランドが独立するかどうかは、事前登録した16歳以上の住民の投票で決まる。もとは英国とは別の国で1707年に連合を組んだ。スコットランドには北欧のような福祉社会をめざしたい人が多く、独立すれば沖合の北海油田の利益を独占できるため豊かになると期待する人も。賛成が上回れば、英国とスコットランド自治政府の間で年金基金や借金負担、軍隊などを分ける協議が始まる。英国の核兵器はスコットランドの海軍基地だけに配備されているが、自治政府与党は独立後、核は持たない立場なので他の場所へ移す必要も。独立は2016年3月以降の見込み。英国は引き留めに必死で、最新の世論調査では賛否はほぼ互角だ。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 日本では「英国」「イギリス」とひとくくりで呼びますが、この国の正式名称は「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」。地理や歴史で習ったことがあるかもしれませんが、グレートブリテン島にあるイングランド、スコットランド、ウェールズと、隣の島にある北アイルランドの四つの地域から成り立っています。英国国旗ユニオンジャックも、白地に赤十字のイングランド旗と青字に白い×印のスコットランド旗などを組み合わせたデザインです。もともと別の国ですから民族意識も強く、今でもラグビーやサッカーの試合はそれぞれのチームで戦っています。2012年のロンドン五輪のサッカーでは、40年ぶりに4地域の統一チームが出場し話題になりました。

 スコットランドの面積は英国の3分の1、人口と国内総生産(GDP)は1割ほど。面積、人口とも北海道よりやや小さい規模です。1960~70年代にスコットランド沖に北海油田が開発されてから自立の機運が高まり、1999年に自治政府と議会が設立されました。2011年のスコットランド議会選挙で、独立を問う住民投票実施を掲げたスコットランド民族党(SNP)が過半数を獲得したのを受け、翌年、英政府が投票を容認。当時は否決確実とみられ、つい1カ月前までの世論調査では「独立反対」が6割以上を占めていましたが、投票直前になって賛成派が急伸。賛成派が上回る調査もあり、英国のキャメロン首相らは相次いでスコットランド入りし、「NO」の結果になればスコットランド議会の権限をさらに拡大するなどと約束しています。

 英政府が慌てているのは、独立が実現したら大きな影響を受けるからです。経済規模は縮小、核基地も移転を迫られます。SNPは独立後も英通貨のポンドを使い、中央銀行はイングランド銀行とし、英国と「通貨同盟」をつくる計画を明らかにしていますが、英政府は同盟を拒否しポンドも使わせない考えです。独立賛成が過半数を占めれば、英政府とSNPが通貨などをめぐって対立し、ポンドの影響力低下や英経済の混乱がおきるとみられています。さらに、スペインのカタルーニャ州など他国の分離独立運動に波及する可能性もあります。

 影響は日本にも及びます。日本貿易会の小林栄三会長(伊藤忠商事会長)は「(独立は)経済面ではプラスよりマイナスの方が極めて多い。成り行きを心配している」「英国全体が混乱し、経済も影響を受ける。欧州の国々の経済政策にも影響を及ぼす」と発言。9月10日の今日の朝刊「円安ってなんだ?原因と企業への影響を知ろう」では、住民投票を前に「スコットランドが独立すると英国の経済力が落ちるため、英ポンドが急落してドルが買われてドル高になり、円安も進んだ」と書きました。

 世界はつながっています。明日以降の住民投票結果の報道に触れながら、日本の経済や企業、そして自分の暮らしや就活への影響まで考えてみましょう。世界の問題を自分に引きつけて考えるくせをつけてください。きっと就活にも役に立ちます。

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