2014年09月03日

民放・商社は東南アジアを目指す

テーマ:メディア

ニュースのポイント

 民放キー局や商社が、東南アジア6カ国で日本関連の番組放送に乗り出します。関連グッズ販売や旅行ツアーなどにも広がりそうな新しいビジネスで、政府も「クールジャパン」戦略の一つとして後押ししています。

 今日取り上げるのは、総合面(6面)の「日本番組 東南アジアへ/6カ国予定 現地向け企画も/関連商品を拡大」です。
 記事の内容は――民放キー局や商社が来春までに、フィリピンやベトナムなど東南アジアの6カ国で10の番組・コーナーを放送する。日本の番組をそのまま流すだけでなく、現地向けにアレンジした番組もつくるほか、おもちゃなど関連グッズ販売や旅行ツアーの検討も進む。TBSがマレーシア、シンガポール、タイのテレビ局とつくる番組「Find the WASABI!」は、3カ国のイケメンタレントが日本各地を訪れて「和」を体験する情報バラエティー。昨年、石森プロ、伊藤忠商事がインドネシアのメディア企業と共同でつくった特撮ヒーロー番組「ビーマ・サトリア・ガルーダ」は同国で好評で、今月始まる続編では食品、雑貨、文具などを扱う日本企業と連携し、関連商品の売り上げを3年間で50億円と見込む。放送番組の海外展開を成長戦略に盛り込む政府は、番組関連の海外売上高を2018年度までに約3倍に増やす方針を掲げる。最大のライバルは韓国。韓国のテレビ放送市場の規模は日本の10分の1ほどなのに、番組輸出額は日本の3倍近い。東南アジアでの韓流ドラマの人気も根強いという。

(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

就活アドバイス

 この就活ニュースペーパーの「人事のホンネ」で、昨年インタビューしたテレビ朝日の採用担当者はこう話していました。「最近はコンテンツビジネスやITビジネスも幅広く展開しているので、それらを志望する学生も増えています。放送は国内向けですが、番組企画のフォーマット販売や、ネットでのコンテンツ展開など、マーケットが国外にも広がっているので、アジアで仕事したいといった新たな志向を持った学生も増えています」。テレビ局も積極的に海外に展開する時代です。

 総務省も放送コンテンツの海外展開を重視しており、字幕表示や吹き替えなどにかかる費用を補助。NHKや日本テレビ放送網、スカパーJAST、WOWOWなどが参加する放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)が昨年発足。オールジャパンによる番組輸出を目指し、海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)とも業務提携しました。

 表を見てください。今回の東南アジア進出の動きは一歩進み、日本の番組をそのまま輸出するものより、現地向けに新しい番組をつくるケースが目立つのが特徴です。日本の文化などを紹介する番組が多いため、訪日外国人増につながる可能性もあります。TBSホールディングスのプロデューサーは「いずれの国も日本への興味が強い。2億人以上に見てもらえる経験は貴重」と言っています。番組輸出では韓流に押されているだけに、新たな市場開拓に期待したいと思います。

 こうした海外展開はテレビ局だけではできません。たいてい総合商社や広告会社が関わっていますね。ほかにも、旅行、食品などさまざま業界に広がる可能性があるビジネスです。今後の展開に注目していてください。

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