2014年07月16日

「ハリポタ」はUSJ、「国家プロジェクト」はMRJ!?

テーマ:経済

◆ニュースのポイント

 15日、人気映画「ハリー・ポッター」の世界が楽しめる新エリアが、大阪にあるユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)にオープンしました。徹夜組を含め、オープン前から約3000人が行列を作る人気ぶりだったそうです。
 ところで、みなさんは「MRJ」が何の略がご存じですか? MRJとは、三菱航空機が開発中の国産初の小型ジェット旅客機「ミツビシ・リージョナル・ジェット」のこと。国も研究に500億円を投じた「国家プロジェクト」ということで、“日の丸MRJ”とも呼ばれています。(副編集長・奥村 晶)

 今日取り上げるのは、総合面(5面)の「MRJ 遠い採算ライン/国産ジェット機受注低調/初飛行後の販売自信」です。
 記事の内容は――開発中の国産初のジェット旅客機「MRJ」が、2年ぶりに新たな注文を受けた。英国南部で始まった世界最大級の航空機ショーを通じて、アメリカの新興航空会社から20機の注文が、ミャンマーの航空会社からも6機の注文があった。2012年7月までに全日空(ANA)などから受注していた165機と合わせて、受注数の合計がようやく200機に近づいたが、まだ採算がとれる数の半分にも満たない。製造や開発費用を回収するには500機ほどの受注が必要だという。
(東京本社発行の朝日新聞朝刊最終版から)

◆就活アドバイス

 「国家プロジェクト」……、なにか壮大すぎて、就活にはなかなか結びつけにくいかもしれません。
 そもそも国家プロジェクトって何なのでしょう? 辞書を引いても明確な答えはありません。ざっくり説明すると、政府や行政主導で、新興分野・新規事業などに投資をし、民間だけではなしえない、研究開発・技術革新を促す事業というものです。国の税金が使われている事業は、ある意味ですべて「国家プロジェクト」と言えなくもないのですが、新聞紙面などで「国家プロジェクト」というと、多額の税金を投入し、国が支援している大型のプロジェクトということになるでしょう。

 MRJを開発する三菱航空機には、三菱重工業、三菱商事、トヨタ自動車などが出資しています。2013年夏に、手抜き検査発覚で初飛行が延期されたニュースもあり、2013年8月22日の「一色清の世の中ウォッチ」でも取り上げています。一度目を通しておいてください。

 ちなみに今回紹介したMRJのほかには、どんな国家プロジェクトがあるのでしょうか?

◇「J-ADNI(アドニ)」アルツハイマー病研究の国家プロジェクト:東京大学、厚生労働省などが主導、内部告発により臨床試験についてのデータ改ざん疑惑が浮上。
◇産業用3Dプリンター国家開発プロジェクト:産業技術総合研究所、近畿大学、東芝など30社・団体が参加、2020年の商品化目指す。 
◇リニア新幹線の建設・海外輸出プロジェクト:JR東海などが主導、今年着工、2027年に開業予定。海外輸出の起爆剤としても期待。
◇次世代スパコンの開発プロジェクト:理化学研究所、文部科学省などが主導、現在のスーパーコンピューター「京(けい)」の100倍の計算能力を目標に掲げる。

 最近話題になったものだけでも、これだけあります。国が威信をかけて、力を入れている事業や研究なわけですから、多くの企業がかかわり、大きなお金が動いています。国家プロジェクトの成功もしくは失敗が、数年先の社会を劇的に変化させている可能性もあります。

 小論文やグループディスカッション(GD)などに使われやすいテーマですので、ぜひ自分に引きつけて考えてみてください。


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